滞在中から制作してた作品
3月のイタリア滞在中も下宿で制作してました。1点でも多く新作を出したいですからね。と言っても、時間を考えてもエアブラシを使う作業までは出来ないので、下絵と切る作業までを滞在中にやりました。
だいたいイタリアの家ってのはキッチン以外は照明が暗いんです。私が借りてた部屋も作業が出来る程明るくなかったので、市場で売ってた安いライトを買いました。
ライトを買った日の夜は酒を飲んで帰ったので、作業はしなかったんですけどね。でも寝る時に日本から持ち込んだ本でも読みながらノンビリするかなって事で、買ったばかりのライトをパチッと付けて、ベッドに寝転んだ。最近はゆっくり本を読む暇も無かったので、あ~幸せと思ったんだよね。
その瞬間、電球がパンッ!!って音がして、部屋は真っ暗。ええっ!?と思ってライトのスイッチをいじったけど明かりは点かず。自室のスイッチとか、キッチン、トイレのスイッチもいじってみたけど真っ暗なまま。どうやらブレーカーが落ちたみたいで、私の部屋だけでなく、家全部が真っ暗になった。下宿の同居人は料理人で、いつも帰りは遅いので、家には私一人。ブレーカーがどこにあるのかわからん。
・・・まあ、良いか。気持ち良く酔ってるし。ブレーカー探すのも面倒くさい。寝ちゃおう。
と言う訳で寝てたんですけどね。その内、同居人が友達を連れて帰って来たけど、「あれ?」とか言って、スイッチをカチャカチャいじってたのが聞こえた。「す・・・すまねえ。」と心の中で笑いながら詫びて眠りについた。いや、私のせいだってのはわかってるんですけどね。どうも笑えて来てしまって。
翌朝、起きたらキッチンで同居人とその友達(前のブログで書いたけど、この子達は卒業旅行でタダで泊まってたんだと。)と顔を合わせた。「すみません。昨夜はうるさかったでしょう?」と言われたけど、「いえいえ。酔っぱらって寝てたので全く気が付きませんでした。それよりも昨日、家を真っ暗にしたのは私です。すみません。」と頭下げて謝りました。まさかさ、40wの電球を点けただけでブレーカーが落ちるとは思わなかったんだってば。
後でブロンズ職人のドゥッチョ・バンキさんの所でその話をしたら、そういう話はよくあるとの事で、調べてくれるそうなので、一度下宿に戻ってライトと電球を持って行きました。
新しい電球を付けて試してみたけど、特に問題無し。ライト本体でなく電球が不良品だったみたいですね。よく見ると電球のソケットの部分に小さな穴が開いて、煙が出た跡があった。危ないなあ・・・。
そういう訳で、制作する環境を整えるのにもけっこう時間がかかりまして、制作スタートは3月10日でした。滞在して1週間以上過ぎてましたね。日曜日は職人さんの工房は閉まってるし、足を休ませたかったので、下宿にいて作業してましたけどね。ほとんどの日はお酒を飲む事があっても、帰って2時間ほど仮眠を取ってから夜中に制作してたりしました。
これが出発前の段階。サイズは50×70cm。名古屋で木地師をやってる大蔵真さんです。木地師と言うのは、ろくろでお椀とかお盆を作る職人さんですね。
下絵を徐々に進めて行く。大蔵さんは50代続いた木地師の家系です。と言っても、直系とかそういう意味ではなく、全国に木地師の末裔は散らばっているそうで、大蔵さんとか小椋さんという苗字の人は木地師の家の出が多いんだそうです。
下絵終了。大蔵真さんの家は元は滋賀県の山奥に一族で住んでいて、木地師を営んでいたそうですが、ほぼ自給自足に近い生活をしていたそうです。
切り始め。私はいつも左上から切って行きます。大蔵真さんの家が名古屋に出て来たのは戦後すぐで、以後ずっと同じ場所で木地師をやっています。
これが帰国の2日前の段階。帰国前日の夜はお食事会で、お酒も控え目。下宿に帰ってから作業を再開。
徹夜で切り終えました。イタリア出発前日も徹夜だったけど、帰国前日も徹夜。睡眠は飛行機に乗ってからで良い。不安だったのは、切り終えると同時に緊張の糸が切れて机に突っ伏して寝ちゃう事。また飛行機に乗り遅れたら、えらいこっちゃ。
出発前に「切る所まではイタリアでやって来る!!」とこのブログ宣言していたので、ギリギリで何とか公約を果たした!まあ、別に出来なかったからと言って、誰も文句は言わないだろうけど、自分が自分に負けるみたいで嫌なんだよね。
で、ここからはイタリア滞在記とは関係無いんだけど、既に作品は完成してるので制作過程を見せて行きます。
帰国したその日にエアブラシを使ってアクリル絵の具の黒を吹き付ける。これで黒い紙を切ったのと同じ状態にします。古新聞に挟んで丸めてスーツケースに入れて持ち帰ったので、傷んでないかと思いましたが大丈夫でした。
着色した紙片を裏側から貼り付けて行きます。いつもはエアブラシで1箇所グラデーションを付けるだけですが、今回は画面にボリュームが欲しいので、アクリル絵の具を筆で厚塗りして油絵のような雰囲気にした紙を貼ります。まだ貼らない場所は新聞紙で包んで保護しておきます。いじってる内に破れちゃうからね。
手前にある物から徐々に貼って行きます。紙の厚みだけで自然な立体感は出ます。大蔵さんが使ってるろくろ、戦後からずっと使ってます。70年近く使い続けている事になるので、ここまで使い込むと命があるみたい。大蔵さんと一緒に一生懸命働いてる感じで、見ていてジーンと来ました。
完成。制作期間は1ヶ月ぐらいかかったかな。イタリアで作業を進めておいて良かったよ。今後の制作ノルマが楽になる。じっくり作り込んだので、充実した時間を過ごせました。完成したのは1週間ぐらい前でして、今は別の作品に取り掛かってます。写真をA4サイズにプリントして大蔵さんに送ったら、丁寧なお礼状を貰いました。喜んでくれたようで良かった。次も頑張らなきゃね。


































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