2007年6月 9日 (土)
2006年6月21日 (水)
職人展その1、実演用の切り絵
今回のブログからしばらくの間、今年のイタリア滞在のメインイベントである職人展の報告をしていきます。もう6月も後半だってのにねえ・・・。1ヶ月も遅れてるよ。
第12回コルシーニの職人展は5月12(金),13(土),14(日)日の3日間。117軒の職人の工房が参加しました。
私は自分のブースに、大作の職人シリーズが9点、小サイズのナポリの風景シリーズを15点、9cm四方の楽器シリーズを36点展示しました。その他、販売用にポストカード6種、干支・星座シリーズも持って行きました。これらに加えて観客の前で切り絵の実演をしました。今年はウッフィッツィ美術館所蔵、ミケランジェロのトンドドーニの模写です。(画像1)
この名画の模写シリーズは職人展に2回目の参加からやってまして、最初がボッティチェッリのパラスとケンタウルス、昨年がポントルモの十字架降下でした。ボッティチェッリは丁度その頃、この絵の展示会がフィレンツェで行われていたので、いわば流行を取り入れたということで。ポントルモについては、この絵が展示されている教会の前の広場は私が長年住んだ家だったので、一度やってみたかったからです。
では今年は何をやろうかというと、これがぎりぎりまで決まらなかった。やはりフィレンツェと縁のある名画の模写をやりたいけど、マイナーなやつはやりたくないし、メジャーなやつでも何点かは既に切り絵にしたことがある。流石にボッティチェッリの「ビーナスの誕生」と「春」はちょっと複雑すぎてとても3日で切り終わる自信が無いし・・・。かといって簡単なデザイン過ぎると私が作っててつまらないし。
じゃあどうすべえかなーと、しばらくの間悩んでいたのですが、展示会前に取材したモザイクのトラベルサーリさんの工房で、ミケランジェロのトンドドーニのすばらしいモザイクを見た。(6月17日のブログ参照。)そして、木彫のマッシモ・バルディーニさんの工房でも、トンドドーニ用の額縁が作られていた。(6月10日のブログ参照。)・・・という事は、こりゃトンドドーニと何かの縁があるという事だ。よって今回のデモンストレーションはこれで決定!
で、トンドドーニ用の額縁を作っていたマッシモさんによると、額縁のデザインをしたのもミケランジェロだそうだ。つまり額縁もひっくるめたものをトンドドーニと言う。成る程、確かに画集なんかでも、トンドドーニの写真は必ずこの額縁も掲載されている。(画像2)ならば切り絵にする時も、この額縁は入れなければなるまい。どっちにしろ絵だけでは簡単過ぎて、半日で終わっちゃいそうだから物足りないと思っていたし。
「・・・実演は観客だけに見せるものではない。参加する職人さん達や、それぞれの工房で真面目に頑張ってる留学生達にも、一発気合の入った所を見せてやる!」
というわけで丸一日かかって下絵を行い、展示会の期間中お客さんに説明しながら切ってました。何とか最終日の閉会一時間前に完成。これを作っている最中にテレビが取材に来て、けっこう長い時間放送されていたと、後で何人かの友達が教えてくれました。
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2006年3月21日 (火)
名画を切り絵でその6
ロッソ・フィオレンティーノの「聖母子と2人の聖人」ヴォルテッラという町の司教区美術館所蔵。サイズはA4で、いつものように左右逆になってます。
えらい、マイナーな作品をやっちゃいましたね。これは最初にこのデモンストレーションをやった場所がヴォルテッラだったので、その町にある作品を選んだからですね。もっとも、その時に大きいサイズで同じロッソ・フィオレンティーノの最重要作である「十字架降下」もやりましたけど。
ヴォルテッラはフィレンツェからバスで1時間ちょっとの所にある町です。いくつかの丘を越えて、曲がりくねった道を行くと、一番大きくて高い所に町が見える、そこがヴォルテッラです。別名「風の町」。周辺の一部では風雨に侵食されてがけ崩れが続いている。また、アラバスターという石が取れまして、これを使った彫刻が盛んです。けっこう名の通った彫刻の学校もある。
この町在住の彫刻家グループと友達になったので、時々泊めてもらったりしました。だいたい私と同年代の連中だったので、彼らのお母様方が作ってくれるご飯が目当てで、一時期は2週間ごとに通って
ましたな。
ここで一番美味しかった食べ物はリボッリータというパンと野菜を煮込んだスープで、仕上げにオリーブオイルを一たらし、ネギをナイフで鉛筆を削る要領でコリコリ削って混ぜて食べる。ピリッとしたネギがアクセントになって美味しいですよ。
下の画像は、昨年の職人展のデモンストレーションの元絵。ポントルモの「十字架降下」。フィレンツェのサンタ・フェリチタ教会所蔵。
切り絵の写真を撮らずに友達にあげちゃいました。ブログに書くことがわかっていれば撮影しといたんですけどね。記録は取っとかないとダメだな。
サンタ・フェリチタ教会のある広場は、私が一番長い間住んでいた家のある場所。だからこの絵は私にとって一番身近なものですね。複雑に絡み合った人物郡が描いててとても面白かった。(かつ、疲れた。)
さて、5月にまたこの手のデモンストレーションをやるんですが、何をやろうかな。今度はちゃんと写真に撮っときます。
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2006年3月20日 (月)
名画を切り絵でその5
今回はカラバッジォ作「バッカス」です。フィレンツェのウッフィッツィ美術館所蔵。
画像は名画シリーズその3.その4同様、A4サイズ。下絵なので左右逆に描いています。
バッカスはローマ神話の酒の神ですね。絵画において神話はポピュラーなモチーフですが、多くは犯しがたい神聖さや気品、近寄りがたい威厳や風格を持たせながら描かれるのですが、カラバッジォは近くにいる人に仮装させて、理想化も美化も一切せずに描いています。この絵もなんだか目が据わってるし、「バッカスの仮装をした男」とタイトルを付けた方が良さそうな感じです。
それだけ生々しいという事でしょうな。彫刻家のドナテッロもキリストの十字架像を作った時に、あまりに人間的過ぎたために「農夫」と友人の彫刻家、ブルネレスキに評されたという話が残っています。宗教的な敬虔さを見た人に抱かせなければならない、という基準から見ると評価は下がるのでしょうね。現在ではドナテッロもカラバッジォも高く評価されています。時代や流行によって絵の価値が変わるというのも考えてみれば不思議だ。
カラバッジォはルネッサンスから1世紀後「バロック」と呼ばれる時代に生きた画家です。性格が悪くて、喧嘩で人を殺して、逃亡の末若死にしたと、随分すさまじい人生だったようです。ちなみに私はフィレンツェにある絵の中ではこれが一番好きです。好きな芸術家はミケランジェロ、チェリーニ、カラバッジォです。・・・クセのある人ばかりだ。
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2006年3月19日 (日)
名画を切り絵でその4
4月中旬にイタリアに出るので、それまでに仕上げなきゃならん作品を現在制作中ですが、ある程度まとまったらこのブログで公開します。
で、中断していた「名画を切り絵で模写してみようシリーズ」の紹介をば。
今回はフィリッポ・リッピの「聖母子と天使」。フィレンツェのウッフィッツィ美術館に収められています。
画像は私が制作した切り絵の下絵。前回のラファエッロ同様、完成時には引っくり返して見るので左右が逆になっています。サイズはA4サイズ。同時期に4点作ったうちの一つ。ラファエッロと今回のリッピで2点公開したので、残り2点ですね。
フィリッポ・リッピは修道僧ですが、生臭で妻帯したり子供を作ったりと、やりたい放題だったらしいですな。今じゃ全然珍しくないけど。この絵のモデルとなったのは彼が誘惑して妻にした修道女、ルクレツィア・ブーティと言われています。リッピの描く他の作品でもこの女性はしばしば登場しています。自分の思いが素直に画面に出ているのか、どの作品も現世的かつ生々しい雰囲気を持っています。私はこの作品が一番好きですけどね。
フィリッポ・リッピは不道徳のかどで告発されているのですが、当時のフィレンツェの大立者、コジモ・ディ・メディチの取り成しにより、法王ピウス2世の還俗と結婚の許可を得ました。まあ、この法王からして、若い頃は人妻に恋してポルノ小説まで書いた人なので理解もあったのでしょうね。イタリア人の気質とでも言うのだろうか。良く言えば融通の利く、悪く言えばいい加減な。
こういう国に生まれたからこそ、フィリッポ・リッピも思う存分に才能を伸ばせたのかもしれない。
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2006年3月 9日 (木)
名画を切り絵でその3
今回はラファエロの名画「小椅子の聖母子」も切り絵。サイズはA4の紙にぎりぎりコピー出来る大きさです。何か変だなと思った人はするどい!左右が反転してるんですね。下絵をコピーして裏側を黒のスプレーで塗りつぶした後、スプレー糊でアクリル板に貼り付けて切ると、完成時には左右が逆になるので下絵の段階では本来の絵と左右反対に描く必要があるのです。
これはデモ用の絵も同じ事で、毎回元絵に線を引っ張って何分割かして左右逆に描いています。単なる模写じゃないので、時々ややこしくて脳が混乱します。おかげで鏡字を書くのは得意です。まあ、今はパソコンで左右反転がボタン一発で出来ちゃうので無駄な特技ですけど。
この絵はフィレンツェのパラティーナ美術館に所蔵されているので、時々見に行きました。中学生の時に美術の教科書で見て以来、大好きな絵だったので毎回立ち止まってじっくり見ています。昨年の5月に滞在した時も、たまたま全美術館タダの日というのがあったので、女の子と一緒に見に行きました。女の子そっちのけで絵ばかり見ていたので振られてしまいましたが。
この絵はデモ用でなく、量産してイベントで販売しようと思ってデザインしました。しかし手間の事を考えると、結構高い値段になってしまうので売りに出すのはやめたんですけどね。代わりに私の所へ来る「切り絵をちょっとだけやってみたい。」という子に作らせてあげたりします。手軽に巨匠の気分が味わえる。線をなぞるだけですから、そんなに難しくはない。
ラファエロの描く人物は表情が柔らか過ぎて、切り絵ではこれが限界ですね。
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2006年3月 8日 (水)
名画を切り絵で、その2
画像はルネッサンス期の画家、ロッソ・フィオレンティーノの十字架降下。前回のブログに書いた「名画を切り絵で模写してみようシリーズ」で一番最初に作ったのがこれ。デモンストレーションの直後に買ってくれる人が出たので写真撮ってません。よって、今回は私の作品の画像は無し。
そもそも、デモンストレーションをやったきっかけというのは、ボルテッラという田舎町に住んでいる友人の彫刻家が「祭りがあるから何か出店をやらないか。」と話を持ってきまして、その時はバンドの演奏の後ろでパフォーマンスとして切り絵をやるつもりでした。演奏している後ろにでかいアクリル板を立てて、黒い紙を貼り付けて切ると。後ろからライトをあてれば観客からは段々影絵が現れてくるように見えるはず。かなりいいアイデアだと思ったのですが、ぶっつけ本番では主催者の方がまともにやれるかどうか心配したので、結局実現はしませんでした。代わりに私のブースを出して、このロッソ・フィオレンティーノの絵を50×70cmでデモンストレーションで作りました。この絵は祭りが行われた町、ボルテッラの美術館に収蔵されている作品なので、見に来てくれた人から評判が良かったです。でも、今考えるとバンドの後ろでパフォーマンスってのもやればよかったなと後悔しております。
このアクリル板に黒い紙を貼り付けて切るって、いろいろと使いようがありそうだね。前述のパフォーマンスとしてやる他にも、アクリル板じゃ傷が付きやすいからガラスに変えて、ショーウィンドウの装飾とか、ランプなんか作っても面白そうだし。切り絵自体はまだまだ未開拓の分野だからいろんな可能性はあるな。
しかし、いろいろやりたい事はあるんだけど職人シリーズで手一杯だし、一日48時間ぐらい無いもんだろうか。
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2006年3月 5日 (日)
名画を切り絵で。
画像は2年前の職人展でデモンストレーションとしてお客さんの目の前で切った作品。三脚が無い状況で撮影したので、写りが悪いし、左下が暗くなってますがご勘弁を。
フィレンツェの画家、サンドロ・ボッティチェッリの名画「パラスとケンタウルス」の模写です。柔らかいラインのルネッサンス絵画も切り絵でやるとこのようになる。模写だから私のホームページで公開すべきではないので、ブログで発表する。
いつもは切った後で紙を貼り付けて仕上げるのですが、これはアクリル板にスプレー糊で黒い画用紙を貼り付け、鉛筆で下絵を描いて、展示会の期間中に切って行く。黒い紙に鉛筆で下絵だから、通り過ぎるお客さんからは下絵の線が見にくいので、まるでフリーハンドで切っているようで、なかなか格好よく見えるらしいです。切った後のパーツをぺりぺり剥がすのも小気味いい。
この作品は2003年に作ったのですが、当時この絵の特別展がフィレンツェで開かれてまして、町中に宣伝用の垂れ幕が張られていました。流行の絵の模写だから観客にアピールするのにいいかなと思ったのと、職人展に誘ってくれた彫金家のパオロ・ペンコさんがボッティチェッリが大好きで、この年にこの絵をモチーフにしたアクセサリーを発表していたので、さぞ喜ぶだろうなと思って。出来た後は謹んでプレゼントしてあげました。感動してたみたい。まあ、彼には日頃お世話になってるし、私の作品も買ってくれてるしね。
名画の模写もたまには良いものです。自分の作品として胸を張る事は出来ませんが、勉強になりますからね。なにしろ世紀を超えて生き残った名画ですから。
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