2009年12月22日 (火)

ローマの風景その3、聖天使城

Roma006_2ローマの風景シリーズ、今回はヴァチカンを出まして、聖天使城(イタリア語だとカステル・サンタンジェロ)に行きます。ヴァチカンからは歩いて10分ぐらい。目と鼻の先ですね。ヴァチカンが危なくなると、法王は秘密の通路を通って、この城へ避難するそうです。

聖天使城はローマのテヴェレ川の川沿いにある城です。元々はローマ皇帝ハドリアヌスの墓所として作られたのですが、徐々に軍事利用されるようになり、ルネサンス期には完全に要塞とされました。15世紀のローマ法王クレメンテ7世はドイツ皇帝の侵略を受け、ローマが略奪された際に、この城に逃げ込みました。この時の略奪でローマの文化財は奪われ、教会なども破壊されました。ルネサンス文化の中心だったローマは壊滅し、ルネサンスは終焉を迎えたと言われています。

さて、この城が何故「聖天使城」と言われているのか。590年にローマでペストが大流行した時に法王グレゴリオ1世が、城の頂上に剣を鞘に収める大天使ミカエルの姿を目撃しました。これ以後、ペストの流行が終焉に向った事から、この城が「聖天使城」と呼ばれるようになったのです。

Roma007_2  現在でも城の頂上に天使の像が置かれています。

橋の欄干には10体の天使の像が置かれています。「ローマで一番美しい橋」と言われているのもうなずけますね。何とも優雅な眺めです。

映画「ローマの休日」では、橋のたもとに作られた舞台でダンスパーティーに参加する場面がありましたが、夜間にライトアップされた聖天使城が奇麗でしたね。

私はこの城と橋の組み合わせが好きなので、角度を変えて2点制作しました。斜めから見た、テヴェレ川の入る構図と、正面から橋を抜ける構図。どちらも魅力的な風景です。

調子に乗って更にもう1点、橋に立つ天使の像も切り絵にしてみました。10体天使はそれぞれ持っている物は違うのですが、その中で一番目立っていた十字架を持つ天使を選びました。

Roma008_2天使像の作者はバロック期の彫刻家ベルニーニによるものです。ローマでは至る所にベルニーニの仕事が見られる。先のブログで紹介したヴァチカンのサン・ピエトロ広場のようにベルニーニによって設計・装飾されたローマの名所は数知れず。「ローマはベルニーニのために作られた。」と賞賛されたそうです。スケールの大きい話だなあ。

そういえば最近、公開された映画「天使と悪魔」にはこの聖天使城がバッチリ登場してたそうですね。忙しくてつい見逃してしまいました。「アマルフィ」ってのもあったなあ。映画に行く暇があったら、少しでも早く完成させる為に制作しなきゃいけないんだけど、イタリア関係の物は押さえとかなきゃいけませんね。そういうのも勉強の内でしょうから・・・。

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2009年12月21日 (月)

ローマの風景その2、衛兵とピエタ。

Roma003 ローマの風景シリーズの公開を続けます。

画像1はサン・ピエトロ大聖堂の右側、ここからローマ法王のいる場所へ続いているんだそうです。派手なトリコロールの制服を着ているのがヴァチカンの衛兵です。ルネッサンス期にローマ法王の要請によってスイス人の傭兵部隊がヴァチカンの為に戦ったのが、この衛兵の起源とされています。現在でもスイス人のカトリック教徒で、ある程度の軍隊経験を積んだ者の中から選抜されて構成しています。

この制服はミケランジェロのデザインと言われていますが、これは間違いです。制服が制定されたのは20世紀になってからですので。Roma004

画像2は大聖堂の出口付近です。ここにも衛兵が常駐しています。この黒マントは冬期に着用されます。なかなかエレガントですね。

黒マントと言えば、私も似たようなマントを持ってまして、会社員時代にスーツの上から着込んで通勤してました。入社一年目は自転車通勤でしたね。田圃の真ん中をマントをはためかせて颯爽と自転車で走り去る。・・・会社の人からは変な人と思われていたらしい。

Roma_005 画像3はサン・ピエトロ大聖堂の中に安置されているピエタ。ミケランジェロが24歳の時の作です。ピエタというのは、死せるキリストの体を抱くマリアの像の事です。ミケランジェロは4体のピエタを作っていますが、完成させる事が出来たのはこの像のみ。

このピエタの切り絵は作る予定は無かったんですけどね。成り行き上、やむを得ず制作しました。(本当は大喜びで作ったんだけど・・・。)その辺の事情については既に書いていますが、おかげで先日の名古屋の展示会でもピエタの事を「カボチャ」と言ってしまって、ブログを読んでないお客さんに変な目で見られた。

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2009年12月20日 (日)

ローマの風景その1、ヴァチカン。

毎年、一つだけテーマを決めて15点ほど制作している風景の切り絵。今年はデパートの美術画廊での個展が続いたので、いつもより多めに小さい風景を作りました。今年のテーマはローマの風景です。結局、名古屋の展示会に出した時は21点のローマの風景が完成してました。

今回からしばらくの間、ローマの風景シリーズを紹介していきます。

まずはヴァチカン関係から。Roma001

1番目はヴァチカンのサン・ピエトロ大聖堂。ローマ市内にある世界最小の国ヴァチカンは、カトリック教会の総本山でもあります。

サン・ピエトロ大聖堂は使途ペテロの墓所があった所に建立されたとされ、キリスト教の教会建築としては世界最大級の大きさを誇っています。

印象的なドームの設計は、当時既に高齢であったミケランジェロによるものです。

私が初めてイタリアに行ったのは21歳の時でしたが、ローマのホテルはヴァチカンの近くでした。朝一番でサン・ピエトロ大聖堂に出かけて、クーポラ(円屋根の事)の展望台に登れる階段の入り口が開くと同時に入場して「ローマの街独り占め」を味わいました。あれからヴァチカンに行く事はあっても、サン・ピエトロのクーポラに登る事はないですな。Roma002

2番目の画像は広場から見たサン・ピエトロ大聖堂です。教会正面や両翼の多数の円柱が並ぶ構成は、ミケランジェロから100年後に活躍したバロック期の芸術家、ベルニーニによるもの。ベルニーニはこの広場を「あたかも両腕を広げて信者を迎える母親のような」という事を念頭に置いて設計したそうです。

私はイタリアの建築で何が一番好きかと聞かれたら、第一にはフィレンツェのドゥオーモを挙げますけど、正面からの角度限定だと、こちらのサン・ピエトロの方が好きですね。正面に円柱が並んでる建物ってギリシアの神殿っぽくて神々しい気がします。

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2009年12月14日 (月)

私の切り絵が着物の帯に!

Obi_3  だいぶ前にこのブログで書きましたが、私の切り絵のフィレンツェの風景をプリントした着物の帯が出来ました。 生地は絹100%です。

いやー嬉しいですねえ。自分の作品がこういう形になるって、すごく面白い!!

上の画像の①が帯の太鼓の部分(背中に来る部分の事です。)今年の2月に完成させた20×30cmの洗礼堂とドゥオーモと鐘楼の風景を使ってます。色のトーンは帯の雰囲気に合わせて実際の作品とは変えてあります。

②と③は帯のお腹の方になる部分。これは切り絵2点を使ってて、どちらか好きな方を選らんで着れるようになってます。②がボーボリ庭園から見たドゥオーモの風景20×30cmで昨年の10月に制作。③はウッフィツィ美術館から見たヴェッキオ橋15×20cmで今年の2月に制作した作品です。こちらも太鼓の部分と同様、実際の作品とは色のトーンを変えてあります。

この帯ですが、フィレンツェに住んでた頃に知り合った彫金家の内藤圭美さんが着物好きでして、私の切り絵を使った帯に、自作の帯止めをセットで売り出そうという企画を持って来てくれたんです。考えてみれば型染めなんかは切り絵と同じなので、着物との相性は良いんですね。今回はプリントなので、私は画像を提供しただけでしたけど、このように他の作家さんと協力して何かを作るってのも良いものですね。自分には無い発想です。話が出た時には、自分の作品がどんな風に使われるのかワクワクしてました。想像以上の仕上がりに大満足です。

20091205_1152912 下の画像は内藤さんが帯を締めている写真です。内藤さん作の帯止めも付けてますね。

実はラッキーな事に、先日の名古屋の2人展の会期中に、会場から至近距離の三越に内藤さんは期間限定でショップを出してたので、画廊にも着物を着て見に来てくれたんです。おかげで実際に実物を見る事が出来ました。

この帯は受注生産なんで、興味のある方はこちらから。お値段は税込66,150円です。(帯止めは別)受注後、40日ぐらいで発送できるそうです。

売れると良いなあ。そうすると、また別のデザインの帯を作ってもらえるかも・・・。

というわけなので、興味のある方はどうぞよろしく。

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2009年12月 9日 (水)

続々新作!!

Zukan13図鑑シリーズの新作です。

最近こればっかですね。 展示会前には仕上げなきゃいけない作品が多かったんだけど、調子悪いと「リハビリ」と称して図鑑シリーズをいじってったりしたんですが、夢中になっちゃうので、これじゃいかんなと、作りかけのやつを封筒に入れてガムテープでグルグル巻きにして押入れに封印してました。意思が弱いので、そうでもしなきゃ誘惑に負けちゃうんだよね。

とりあえず次の展示会までは間があるんで、続けても良いんだけど、そろそろ飽きて来たかな。すぐ完成するので、楽しいんだけど、やっぱり大作を仕上げる時の達成感は無いですからね・・・。

上段の左から タチウオ、ノコギリクワガタ、スルメイカ、ミシシッピアカミミガメ

中段の左から ウグイス、ニホンカモシカ、アホウドリ、ヒゲコガネとシロスジコガネ

下段の左から タヌキ、インドコブラ、オオスカシバ、ウズラ

タチウオは微妙に形が違いますが、上の方が日本で食べられてるもので、下の方がイタリアの市場に出るものです。日本のは背びれはあるけど尾びれが無い。イタリアのは背びれが無いけど尾びれがある。この違いは私が発見したんじゃなくて、だいぶ前に某ブログに書いてあったのです。味は同じなんですかねえ・・・。

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2009年12月 7日 (月)

次々新作!!

Zukan12 図鑑シリーズ12点追加です。サイズはいつも通り、各9×9cm。

しばらく大作をやらずに、このシリーズを続けます。

・・・たまには遊びで作る物があっても良いかなと。

上段の左から ショウリョウバッタ、シロイワヤギ、スカラベ、ジュゴン

中段の左から チンタセネーゼ、カナヘビとニホントカゲ、オカピ、フクロウ

下段の左から ヤンバルクイナ、ゲンジボタル、メガネザル、トビウオ

チンタセネーゼとジュゴンはちょっと前に作ってあったけど、発表するのを忘れてたので。

チンタセネーゼってのはイタリアのシエナ近郊で飼育されているブタです。(凄いマイナーな動物を作っちゃったなあ。)お腹の部分が帯を締めているように白い毛なのでチンタ(帯、ベルト)セネーゼ(シエナの)と呼ばれています。普通のブタに比べて成長が遅く、小型なので、現在はイタリアでも飼育される事は少ないんだそうです。しかし肉質は適度に締まり、味わい深いんだそうな。・・・美味そうだな。

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2009年12月 6日 (日)

花シリーズ。

Fiore 名古屋の2人展を見に来てくれた方は見てますけどね。以前からコツコツと作り貯めていた「図鑑シリーズ・花」36点です。展示会の準備の日の朝6時に完成。

・・・展示会に見に来たお客さんに「なんか前回の個展でも準備の日まで制作してましたね。」と言われてしまいました。同じ事を繰り返してるみたいで恥ずかしいですね。決して普段から怠けているわけじゃないのに、何故いつもこうなるのだろう?

黒い背景に花がポッと浮き出るように、花びらの部分だけアクリル絵の具を吹きつけて表現しています。これをやらないと黒い線が強すぎて汚い花びらに見えてしまうんですね。こうすると柔らかい感じになります。このスタイルにたどり着くまで、いろいろ試作を重ねました。

「この絵を真っ暗な中に置いたらどうなりますか?」という質問が出ましたが、真っ暗な中に置いたら見えなくなります。電球が入ってたり、蛍光塗料を使ってるわけではないのです。でも「光って見える。」というのは私にとっては褒め言葉ですね。よく「影絵みたいに裏から光を当ててみたらどうか?」と言われる事もあるんですけど、それは影絵であって、切り絵じゃないんですね。影絵の大家というと有名な藤城清治さんという方がいらっしゃいますけど、仮に私が同じようにやってしまうと、藤城さんの真似になってしまうんですね。あれは藤城さん以外がやっちゃいけないと思ってます。ならば「光を使わなくても光って見える表現」をする事が切り絵師としての目標ではないかなと。その意味では、今回の作品で課題をクリアしたという事ですね。

1段目の左から コスモス、キキョウ、アネモネ、ユリ、アサガオ、カーネーション

2段目の左から モクレン、アブラナ、モモ、チューリップ、サギソウ、スミレ

3段目の左から アジサイ、ツバキ、マツヨイグサ、ウメ、グロリオーサ、ボタン

4段目の左から マーガレット、マリーゴールド、ヒナゲシ、フジ、ナデシコ、ブーゲンビレア

5段目の左から ミモザ、スズラン、アヤメ、カタクリ、ノアザミ、ヒマワリ

6段目の左から バラ、サクラ、レンゲ、タンポポ、スノードロップ、スイレン

今回は絶対外せないメジャーな花や私の好きな花、前にこのブログで何点か公開した時にリクエストがあった花など36点選び出して作ってみました。急いでデザインしたのもあるので、ちょっとぎごちないデザインもありますけどね。

作ってて気が付いたけど、園芸種よりも野に咲く草花の方が好きですね。イタリアで4月頃に咲き乱れるヒナゲシとか。他にもノアザミとかレンゲ、アブラナあたりがお気に入りです。

展示会では賛否両論でしたねえ。「らしくない」って意見もあったな。普段イタリアものばかり切り絵にしてますからねえ。こういうのが1点ぐらいあったって良いじゃんって思います。

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2009年12月 5日 (土)

早速新作!!

Zukan11 というわけで、展示会中にリクエストも多かった「図鑑シリーズ」の新作です。各9×9cmです。まあ、新作と言っても今の所発表する予定も無いので、あくまでも私の趣味の作品ですけどね。

千点完成したら、このシリーズだけで個展をやろうと思ってますが、現在161点。・・・まだ遠いな。

展示会の会期中に家に帰ってからコツコツと作ってたんです。酔っ払って帰って来た事もあったので、そういう日は除きますけど。

会期中の制作時間は1日に3時間が限度でしたかねえ。それ以上は眠くて無理でした。

上段の左から オオアルマジロ、タガメ、エジプトハゲワシ、ラーテル

中段の左から キリギリス、アオカケス、キンシコウ、メダカ

下段の左から ハシビロコウ、マッコウクジラ、トラフサンショウウオ、アカギツネ

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2009年11月 2日 (月)

トンド・ドーニ完成!!

003 ミケランジェロのトンド・ドーニ完成。直径55cmです。(大きいサイズはクリックすれば見れます。)

作ってて思ったけど、完璧なデザインですよね。流石はミケランジェロ。テンペラ画がこれ1点ってのが惜しまれます。無論、本業である彫刻や、壁に直接描かれたフレスコ画も素晴らしいけど、一枚絵としての作品ももっと見たかった!

今回は本気で模写をやってみましたが、大変勉強になりました。

しかし、けっこう作るの大変だったなあ。で、来年はボッティチェッリの「春」を切り絵でやる事になってる。自分の首を自分で締める事を宣言しちゃったかなあ・・・。

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2009年9月28日 (月)

ラスト!!

Roma012_4 明日から上京して個展の準備だってのに、性懲りも無くもう1点仕上げちゃいました。ヴァチカン美術館所蔵のラオコーン像。サイズは7×7cm。今まで作った切り絵の中で最小のサイズですね。

透明アクリル板2枚で挟んで額装します。「裏から見ると、こうなってるんですよ。」とお客さんに説明する為の作品ですね。このサイズなら上着のポケットにも入りますんで。

説明用の作品なんで、値段は付けません。

ラオコーンはトロイア戦争に登場した預言者です。敵の戦略を予知したのですが、敵方をひいきにしていた神がヘビを送り込んで、2人の息子ともども絞め殺した。味方の軍勢はそれを見て、偽りを口にしたのでバチが当たったと思い込んで、結局戦に負けてしまったという話。・・・ラオコーンにしてみると不本意極まりない話ですな。正しい事を口にしたのに殺されて、その上味方にまで罵られる。

ラオコーンの像はローマ時代の作品でルネサンスの時代に発掘されました。ミケランジェロにも影響を与えたんだそうです。とてもドラマチックで迫力のある構成ですね。作ってて楽しかった。こんな凄い像が既に1世紀ぐらいの頃に作られてるんだから、人間って素晴らしいなあと思う。

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