2014年12月22日 (月)

帰国の前日に

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今年ももうすぐ終わりですね。ぐずぐずとイタリア滞在記を書いてるので、しばらく近況を書かなかったのですけど、とりあえず元気です。帰国してから真面目に制作しております。一区切り付いたので、今は年賀状の制作をしてます。

さて、今回の記事で2014年のイタリア滞在記も最終回です。帰国の前日、9月29日(月)に靴職人、カロジェロ・マンニーナさんが亡くなったという電話がありました。

前の日の夜、息子さんがバカンスから戻って来たので、職人頭のジョバンニとシチリアから遊びに来ていた友達の娘さんと一緒に空港まで車を走らせていた時に心臓発作に襲われたそうです。
高速道路上だったのですが、発作が起こった時に偶々ブレーキを踏んだらしく、スピードが落ちたので助手席にいたジョバンニがサイドブレーキを引いて無事に停車しました。
ところが、高速道路上だった為に救急車を呼ぼうにも何処に呼べば良いのか分からず、途方に暮れたそうなのですが、それから1分も経たない内に救急車が通りかかったので、助けて貰えたそうです。
迅速に処置が行われましたが、30分程で亡くなられたそうです。
お医者さんによると、老衰に近いような状態だったので、家に居たとしても発作は起きていただろうとの事でした。

マンニーナさん、きちんとした人でしたが、最後まで誰にも迷惑をかけずに世を去られました。運転中だったにも関わらず、事故を起こして同乗してた2人を巻き込む事も無く、その直後に救急車が来たなんて、精一杯生きたマンニーナさんに天が報いたんじゃないかなと思います。
その日もいつものように元気で働いていたというので、職人としても人間としても、誇りある人生を全うされたんでしょうね。

夕方、お店の近くのサンタ・フェリチタ教会でお別れがありました。日本で言うお通夜みたいなもんですね。帰国の前日に最後の挨拶をする事になるとは思いませんでした。棺に横たわってるマンニーナさん、ネクタイをピシッと締めて、自分で作った靴を履いて・・・どこから見ても完璧な紳士だったな。

マンニーナさん、私が職人シリーズを始めたきっかけになった職人さんです。フィレンツェの私が下宿してた部屋の窓から顔を出すと、向かいの建物の1階がマンニーナさんのお店でした。遊びに行く内に職人の世界が面白い事に気が付きました。私にとっては大恩人ですね。

もっともっと話を聞きたかった。働いてる姿をずっと見ていたかった。
しかし、彼の姿を思い浮かべる時、フィレンツェという劇場で最高の演技で観客を沸かせた名優が舞台を去ったような、そんな気分でした。これ以上、何を望もうか。だから私は拍手でマンニーナさんの退場を見送りたいと思いました。

さて、帰国後、マンニーナさんの靴を修理に出しました。一番最初に作ってもらった茶色の靴、つま先をひっかけてしまって、ちょっと剥がれてしまったんです。踵もだいぶすり減ってたから、ついでにメンテナンスもしてもらおうと思って、鎌倉の神座健二さんに依頼しました。神座さんはコマヤという靴のお店の社長さんです。一時期、マンニーナでも修行していたので、マンニーナさんの弟子なんですね。

神座さんも既にマンニーナさんの訃報は知っていたので、気合を入れて修理してくれました。「久しぶりにマンニーナさんの靴を見れました。嬉しかったです。」との事。綺麗にメンテナンスして帰って来たなあ。

前の記事でちょっと書いたけど、時々職人さんの手がけた作品を、全然別の場所で目にする事がある。その職人さんが既に亡くなられていたりしても、作品を見ると「こんな所でまた会えた!」って思う事があるんです。作品に魂が込められているんでしょうね。時代や場所が違っても、後に残った作品を通じて想いが伝わる事はあるんですよ。

多分、神座さんも靴を修理してて、マンニーナさんと対話してたんじゃないかな。

これまでも少なからず、切り絵にした職人さんが亡くなられています。だが、素晴らしい人たちと同じ時代を過ごせたって、すごく幸せな事なんですよ!

より一層、精進して職人シリーズに取り組もうと思いました。彼らの伝説を語り継いで行きたいのです。

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2014年12月 3日 (水)

チンクエ・テッレ後編

はあ・・・既に12月だってのに、まだ9月のイタリア滞在記が終わってない。

気を取り直して、チンクエ・テッレの後篇です。

5つの町の内2つ目のヴェルナッツァを取材したのがお昼時。山道を歩いて消耗したので、残り3つの町は電車で移動する事にしました。最後の2つ、マナローラからリオマッジョーレまでの道は「愛の小道」という遊歩道で、とても眺めが良いそうですが今回は断念。次の機会に行く事にしましょう。

と言う訳で3つ目のコルニーリアへ電車で移動。

この町は崖の上に立ってまして、海岸は無いみたい。駅から町までは歩いて20分程。インフォメーションで地図を貰おうと思ったが、小さ過ぎる町なので地図は無いとの事でした。

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コルニーリアの町を散策。高台にあるので、どこからも海の眺めは素晴らしいんだけどね。この町は切り絵にしようと思うと難しいかも・・・。

チンクエ・テッレの町を回る遊覧船はあるんですけど、コルニーリアだけは上陸出来ないんです。海岸が無いからね。でも海からこの町を眺めたら、さぞ絵になるだろうなと思った。

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コルニーリアの町の全景。4つ目の町、マナローラから撮りました。岩山の上に立つ家が面白い構図。次は遊覧船に乗ろう!

そして4つ目の町、マナローラ。ここは昔切り絵にしています。

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マナローラの風景。15×20cmです。この切り絵を作った頃は、鹿児島でレストランをやってるyossyさんが現役のフィレンツェモザイク作家で、チンクエ・テッレの風景をモチーフにモザイクを仕上げたので、ライバル関係であった私も負けじとこの作品を作ったんでした。
その後の個展でこの作品はyossyさんの旦那さんの伯母様の所に行く事になったので、不思議な縁でしたね。

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切り絵にした写真と同じ場所から撮影。切り絵を作った時に元にした写真は、語学学校時代に遠足で来たときに撮ったものでしたが、あの頃と変わってないですね。

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9月末でしたが、まだ夏は終わってませんねえ。ウヒョヒョッ。
日差しが強いので、私は一気に日焼けして脱いだらパンダのような状態に・・・。

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最後の町、リオマッジョーレです。楔を打ち込んだような形に家が建っていて、海側から見ると迫って来るような感じ。迫力のある町ですね。

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舟遊びなどすると楽しそうです。

夕方、チンクエ・テッレを後にしてフィレンツェに戻りました。夏とともに私のイタリア取材もこれにて終了。これまで、あまり切り絵にした事の無い、海の風景をどう料理するか楽しみです。

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2014年11月30日 (日)

チンクエ・テッレ前編



リグーリア州取材の最終日。ジェノヴァのホテルをチェックアウトしてフィレンツェの戻る。戻る途中にチンクエ・テッレに寄って行きました。チンクエ・テッレとはイタリア語で「5つの土地」という意味。海沿いに5つの町が並んでいます。その気になれば1日で全部回る事も可能。フィレンツェからも日帰り出来るので、リグーリア州でも人気の高い観光地ですね。語学学校に通ってた時代、学校の遠足で連れてってもらって以来17年ぶりです。

と言う訳で、まずはジェノヴァに一番近いモンテロッソ・アル・マーレから。チンクエ・テッレでは一番大きい町です。

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駅を降りたら、目の前は海。ツーリストインフォメーションで地図をもらって(この日は日曜日だったにも関わらず、インフォメーションが開いてたのはありがたかった。イタリアじゃふつうは日曜日は開いてないもんね。)何かありそうなポイントに向けて歩く。

海岸にあった巨人の像。岩をそのまま彫り込んであるんでしょうかね?何かの建物にくっついている。よく見ると腕の部分に穴があるので、元々は腕があったのでしょう。買って来たガイドブックにもこの像の詳細は書いてなかったので、結局何だったのか良く分からなかったけど、この海岸にピッタリの良い彫刻です。

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線路の反対側には町がありました。12世紀に建造された、サン・ジョヴァンニ・バッティスタ教会です。

チンクエ・テッレの町は海沿いにありますが、各町をつなぐ道はほとんどが山道。語学学校の遠足でも歩いた覚えがあるので、今回も行ってみますかって事で、モンテロッソ・アル・マーレから次の町、ヴェルナッツァへ向けてGO!!

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さらば、モンテロッソ・アル・マーレ。・・・一応、海に面した道を通ってたんですけど、この後どんどん山に入って行く。

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・・・いや、山歩きも好きなんですけどね。正直、かなりハードでした。ちょっと甘く見てたようで、小さいペットボトルの水しか持って行かなかったので。ご覧のとおり上天気なので、すぐに水は飲み干してしまって、喉がカラカラに・・・。

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1時間半ほど歩いて、いい加減ウンザリしてた頃・・・。見えた!!次の町ヴェルナッツァだ!!

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ウム!これぞ絶景である!これでこそ苦労して歩いて来た甲斐があるというもの。これを見る為にチンクエ・テッレに来たのである!

へとへとに疲れた状態で町にたどり着いて、何はともあれ昼ご飯と飲み物を買いました。ジェノヴェーゼペーストが塗ってあるピッツァとコカコーラ。ああ、コカコーラ最高!!死ぬそうなぐらい喉が渇いてたから体に染み入る。ついでにジェラートも食べてやっと元気を取り戻した。

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港に立つサンタ・マルゲリータ・ディ・アンティオキア教会。12世紀に建造。非常に絵になりますね。

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町で一番高い所にある「サラセン人の塔」にも上る。

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塔からの眺め。悪くないけど、山道の方から町全体を見る方が良いな。

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駅の方向に向けて歩いて行くと、あまりにも小さい教会が。教会って言って良いのかなあ。3人ぐらいしか入れなそうな感じだ。

・・・後編に続く。

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2014年11月27日 (木)

ポルト・フィーノ

ジェノヴァを起点としたリグーリア州の取材、2日目です。ポルトフィーノに行きました。ジェノヴァからはフィレンツェ方向に電車で戻って、サンタ・マルゲリータ・リグレで下車。更にバスで20分ほどの所にあります。

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こちらがポルト・フィーノ。最後の港って意味です。なかなか詩的なネーミング。ここら辺の町は建物がカラフルで似ていますね。綺麗なんですけど、個展用に何点か作る場合は同じような絵が並んじゃうので困ります。作ってて飽きちゃうんですよね。

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要塞から見たポルト・フィーノ。絶景。要塞から岬の先端にある灯台まで歩いてから町まで戻る。

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灯台より向こうは海が広がる。・・・自然のままの風景って切り絵にしづらいなあ。いやいや。最初っから切り絵にするつもりも無いので、無心で海を眺める。たまにはボーッとするのも良いかな。

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街の方に戻って、ちょっと高い所にあるサン・ジョルジョ教会。左側に要塞が見える。

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昼食後、ポルト・フィーノの観光を終えて、サンタ・マルゲリータ・リグレに戻るバスを待ってたら、この蝶を見ました。ヨーロッパタイマイではないか!!イタリアでアゲハ蝶を見たのは初めてです。非常に嬉しい。

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時間はまだあるので、キアヴァリと言う町にも寄って来ました。市庁舎前の広場で市場が出ていた。なかなか絵になりますね。

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“微笑みのキャヴァリ”と看板に書いてあります。そんな町だったのか。
ここのカフェでジェラート食べました。暑かったから美味しかった。後で聞いたけど、老舗のカフェだったみたいですね。

さて、この日の晩御飯ですが、ジェノヴァに戻ってから港まで出ました。前の日に屋台が出てるのを見てるんですね。漁業組合がやってるから不味いわけがない。

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とりあえず食べたのがこれ。イワシとナスとトマトの煮込み。非常に美味しかったのですが、フリット・ミストが食べたかったんだよなあ。適当に並んじゃったら、フリット・ミストが無かったんだよね。

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・・・と思ったら、すぐ近くにありました。フリット・ミスト!白ワイン付きで7ユーロだって。こりゃ、並ばなきゃ。

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ジャジャン♪ これぞ、フリット・ミスト!!エビとイカとイワシのフライ。さっくり揚がってて超美味!!白ワインも何故ここまで合うんだか!!

すっかり幸せな気分になってホテルに戻りました。リグーリア最高!!

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2014年11月26日 (水)

ジェノヴァ水族館

しかし、ロンドンでも水族館に行ってるのに、ジェノヴァでまた行くかって感じですね。1ヶ月の滞在の間に2度も!私が子どもだったら「この前、行ったばかりだろ!」って親に怒られるでしょうね。既に親に遠慮する歳でもないので、行きたい所に行ける。

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入口近くにある円筒状の水槽に居たウツボ。穴に入って顔だけ出してるのは何度も見てるけど、泳いでる所は初めて見た。あまり体を動かさずに水の流れに任せてる感じ。ちょっと幻想的でした。

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マナティ。これは初めて見ますが凄い迫力。神々しささえ感じる。人魚伝説のモデルとなったと言うが、(この太目な体型からすると無理があるだろって思いますが・・・。)動いている姿はとても美しい。

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セミホウボウ。色も形も優雅。ユラユラと舞ってました。トビウオ並みに鰭が大きいけど、海底で生活するので飛ぶ事は無い。

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チョウザメ。キャビアが採れます。ここは浅いプールになってました。上から見ると、こんな形してるんですねえ。

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カラッパ。蟹の仲間です。カラッパとはインド語でヤシの実の事。上手に丸くなってるなあ。英名は“shame faced crab”だって、成程。恥ずかしそうに顔を隠している。

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ホモラ。同性愛者みたいな名前。何でそんな妖しい名前を付けられたんだか。背中から小さい脚が飛び出て見えるけど、これは一番下の足が背中に回っている。貝殻なんかを担いで身を隠す習性があるんだって。せっかくだから何か担いで欲しかったけどねえ。

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ツボダイ。刺身や煮つけにすると美味しいらしい。しゃくれた口が愛嬌がありますな。

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バンガイカーディナルフィッシュ。インドネシアのバンガイ島付近に生息する固有種。彫金で作ったみたいに煌めいている。こんな魚が居るんですねえ。

大きい水族館なので、とても楽しかった。ロンドンの方は物価が高い事もあって、お得な感じは無かったけど、ジェノヴァ水族館はお勧め。水族館好きなら行ってみるべし。

この日の晩御飯は水族館近くの柱廊でジェノヴェーゼの屋台を見つけたので、そこで食べました。ジェノヴェーゼってのはバジリコと松の実とパルメザンチーズで作るパスタのソースです。そこの屋台ではパスタの種類を選べるんだけど、どれが美味いか店主のお兄ちゃんに聞いてみたら「自家製のラビオリ。美味いよ。」と言うので、それで作ってもらった。目の前で生パスタを茹でてくれましたが、パスタの屋台って珍しいですね。イタリアでもあまり見ない。
4ユーロの一番少ない量でしたが、けっこうお腹一杯。満足して帰りました。・・・屋台の写真も撮っておくんだったなあ。

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2014年11月25日 (火)

ジェノヴァ

リグーリア州の取材、続く。

ジェノヴァを拠点にして2泊3日で周辺の町を回って来ました。ジェノヴァはまだフィレンツェに住んでいる時に一度旅行していまして(15年ぐらい前)主要な場所の写真も撮ってますが、今の視点で風景画を描く為の資料としては使いにくいので改めて観光してみました。ホテルに荷物を置いて、活動開始です。

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まずはインフォメーションに行って地図を手に入れる。近くにあったのが「赤の宮殿」ヴェロネーゼやデューラーの絵画が展示されてたりしますが、自分の風景画の為の取材なのでスルーして次に行く。

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「赤の宮殿」のすぐ近くにある「白の宮殿」。写真の右に写ってます。現在は市庁舎として使われてます。
この辺り、○○宮殿ってのがやたらと多い。海洋都市国家として栄えてた町ですからね。

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ジェノヴァのドゥオーモ。サン・ロレンツォ教会です。リグーリアではおなじみの白と黒の大理石を使った教会。ここら辺では一番立派な教会ですね。

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近くにあるソプラーナ門とコロンブスの家。木立に隠れて見にくいけど、チェスのルークの駒みたいな形の塔が二つ並んでるのがソプラーナ門です。コロンブスの家は当時の物が残ってるんじゃなくて、18世紀に復元された物です。

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港の方に降りて行きブラブラ歩く。画像は港に面した通りの柱廊。普通は柱廊と言うと瀟洒な雰囲気でブランドショップとか、こじゃれたカフェなんて店が並んでる所が多いですが、こちらは中国系など移民の店が多いせいか非常に怪しげ。若干、危ない雰う囲気が漂ってます。

一歩奥に入ると、路地が凄く狭い。未知の幅があまりに狭いので、真昼でも薄暗い。昔、ジェノヴァを旅行した時、水兵さんから「危ないから路地に入るなよ。」と声をかけて貰ったっけ・・・。旅行初日で「有り金全部盗られた」じゃ洒落にならんから、雰囲気を楽しんだ後はなるべく大通りを歩いた。

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海側にあるサン・ジョヴァンニ・ディ・プレ教会。これは側面で、海に面してる。なかなか開放的な空間で、広場で地元の人たちが寛いでるのを見るのが楽しい。

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最後にジェノヴァ水族館に行きました。15年前のジェノヴァ旅行でも行きましたが、当時は図鑑シリーズをやってなかったので、一枚も写真を撮らなかった。夜の8時まで開いてるので、 これはもう行かなきゃって事ですね。

水族館のレポートは次のブログで。

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2014年11月24日 (月)

ポルト・ヴェーネレ

さてウンブリア取材からフィレンツェに戻ったのが9月23日。イタリア滞在最後の1週間です。職人工房の取材も終えて、後は風景の取材を残すだけ。
と言う訳でリグーリア州に行きます。昨年の風景のテーマがウンブリア州で山だったから、今年はリグーリアの海沿いの町に行きましょうって事で。

手始めにフィレンツェから日帰りで行ける所で、ポルト・ヴェーネレに行きました。
ポルト・ヴェーネレ・・・イタリア語でヴィーナスの港と言う意味です。さあ、どんな素晴らしい所でしょうか。

まずはフィレンツェから電車で2時間。ラ・スペツィアという港町に行きます。軍港もあるので観光地ではないですね。でも港町らしい活気のある町でした。ポルト・ヴェーネレはここからバスで20分程。

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バス停を降りたらいきなりこの風景!建物の色がカラフルでとても良い。海の風景はこれまで2点しか切り絵にしなかったけど、これは良い。非常に良い。元気に町を歩こうではないか。

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画像の中央、左寄りにアーチがあるけど、そこから町の中に入って行きます。

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店が立ち並ぶ細い路地。観光客向けの土産物屋さんが多いですね。ガイドブック1冊買いました。

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路地を抜けたら、視界が開けて教会が!思わず息を飲みました。岬の先端に立っているのですが、まるで岩を削り出して作ったような外観。こんなの初めて見ました。これは・・・切り絵にするのが楽しみです。13世紀に建造されたサン・ピエトロ教会と言います。

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教会から町の方を望む。こっちから見るとカラフルな建物は見えんのだな。左側に教会が見えるので、次はそこに向かって歩いて行く。

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サン・ロレンツォ教会です。こちらは12世紀建造。白と黒の縞々模様の教会はリグーリア州では良く見られる。地元で採れる石なんですね。

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すぐ近くの要塞にも行く。12世紀建造です。町で一番の高台。

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要塞から見たサン・ピエトロ教会。・・・すごい場所に立ってますよね。灯台みたいです。ポルト・ヴェーネレに行ったのは9月末だったけど、水着で泳いでる人が居たりして、まだまだ夏は終わってない。穏やかな波だけど嵐となると教会が波に飲み込まれそうになります。

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要塞から急な石段を降りて町に戻りブラブラします。船着場から見たポルト・ヴェーネレ。今回はラ・スペツィアからバスで行ったけど、船で行く事も出来るんだよね。優雅な・・・。次に行く機会があれば船を使ってみようと思ってます。

大満足でフィレンツェに戻りました。非常に気に入った!フィレンツェからは丁度良い遠足ですね。

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2014年11月23日 (日)

ファブリアーノ

さて、ウンブリア州スポレートに2泊3日で滞在してましたが、ついでにマルケ州のファブリアーノという町に行って来ました。今年の風景画のテーマはリグリア州ですが、来年はマルケ州のシリーズを作るつもりなので、見に行きますかって事で。

ファブリアーノというと、製紙業で有名なんです。郊外にはイタリアの紙幣を印刷する工場があるし、イタリア中の画材屋・文房具屋では町の名前と同じファブリアーノ社の画用紙が売られてます。
・・・私はイタリアに住んでた頃からCANSONという画用紙を使ってます。フランス製。色々な紙を使ってみた結果、CANSONが一番使いやすいので、現在でも使ってます。

ファブリアーノはスポレートからフォリーニョまで電車で行き、そこからバスで1時間半。地図を見ると、山を一つ越えて平地になった所がファブリアーノでした。

鉄道の駅からは15分ほど歩いて、大きい病院の近くに城壁で囲まれた旧市街がありました。火曜日のお昼時でしたが、驚くほど人気の無い静かな町でした。

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街の壁に貼ってあった紙屋さんのポスター。素朴な絵柄ですが、伝統的な紙漉きの様子が描かれていてナイスだ!

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町の中心にあるポデスタ宮殿。右側に写ってるのが市庁舎。いずれも簡素な作りで切り絵にはし難いかな。

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ポデスタ宮殿に隣接してるこの建物の方が印象的。時計の付いた塔はトッレ・チヴィカと言います、訳すと「市民の塔」になります。・・・う~ん。もうちょっと凝った名前は無かったんですかねえ。塔の右側は警察署だそうです。手前は12世紀に作られたストゥリナルトの噴水。

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サン・ヴェナンツィオ教会。ファブリアーノで一番重要な教会です。

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外観は質素ですが、内部はけっこう豪華ですね。

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ファブリアーノの町並み。あの山の向こうはウンブリア州・・・。何でもない風景ですが、心が惹かれる。

15時前にファブリアーノを出発して、19時過ぎにフィレンツェの下宿に着きました。同居人のイタリア人の女の子がトイレが壊れたので怒り狂ってた。静かに暮らしたいなあと思った。

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2014年11月15日 (土)

紙漉き職人、フランチェスコ・プロイエッティ

ウンブリア2日目の後半。葡萄の収穫風景を見学した後、近くのバベーニャという町で昼ご飯を食べました。鹿とかカタツムリとか、地元の名物だそうです。美味しかった。

昼食後、紙漉きの職人さんの工房を訪ねました。今回取材した10人目の職人さんです。職人取材はこれで最後です。

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まるで穴倉のような古色像然たる工房。しびれる!!
実演もやって貰えるので、期待感がマックス!!

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紙というと、木材とかコウゾやミツマタなどの植物から作ると思ってましたが、ここでは木綿の布から作ります。・・・考えてみたら木綿も元々は植物ですね。フランチェスコさんの手元にある鎌みたいな刃物で布を裂いて行く。

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一番上の写真で部屋の奥にある機械。ある程度割いた布をこちらに持って行きます。歯車が回って、餅つきのような動きで杵が布を叩いて磨り潰す。この機械は1200年代に発明されました。川が近くにあるので、当時は水車を使って歯車を回してたんでしょうね。この工房では20年前から使ってます。水力じゃなくて、電気で動かす。

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粉々になった布を樽に入れて、水と膠を加えて紙を漉く。昔、愛知県の足助町で紙漉きの体験をした事がありました。同じ作業でしたね。
これを洗濯物を干すように乾かします。

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一応、これで完成なのですが、このままの状態で絵を描いたりすると、絵の具の水分を吸収し過ぎて紙が分解してしまうので、仕上げにアラビアゴムで擦って滲み止めをします。

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紙漉き以外にも他分野の職人さんと組んで祭りの時は実演したりしてるそうです。フランチェスコさんの工房の奥には広い庭があって、鐘の鋳造をやってました。

ちょっとしたパーティーがやれるぐらいの広い庭。クジャクやガチョウがノンビリしてました。職人工房と言っても、田舎へ行くと土地がたくさんあるので優雅ですね。

と言う訳で、ウンブリア取材の2日目が終了です。案内してくれた粉川さんに感謝です!!

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2014年11月 9日 (日)

葡萄の収穫

さて、ウンブリア州はスポレートで1泊して次の日、粉川さんに葡萄畑に連れて行ってもらいました。食文化シリーズの一環として、収穫の風景を見たかったので探してもらったのです。(粉川さんの本業とは言え、超有能!)

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アダンテというワイン農家です。ベヴァーニャという町の郊外にあります。

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ワイン用の葡萄だけど、生で食べても美味しい。甘味が濃厚。サンジョベーゼという品種です。

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トラクターの後ろに荷車を付けて、摘み終った葡萄を運ぶ。麦わら帽子の若い子が、いかにも農業青年って感じで素敵だ。

人口の建物があまり無い、自然な風景ってあまり切り絵にした事が無かったで、作品にするのは非常に難しいでしょうね。・・・でも燃えて来ます。

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私が写真を撮ってる間に、粉川さんは農家の人たちとお喋り。この後、お昼ご飯を食べにベヴァーニャに行くのですが、美味しい店の情報を仕入れてたんです。情報収集は大事ですね。おかげで私も美味しい食事にありつけるし。

午後からは最後の職人取材へGO!

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