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2013年6月25日 (火)

かつら職人、ゲラルド・フィリストゥルッキ

さて、イタリア滞在記がまだ終わってないので、大急ぎで記事にしましょう。もう6月も末だってのにねえ。

昨年の滞在で取材しそこなった職人さんです。フィレンツェ在住の友達が知り合ったので、紹介してもらおうと思ってたんです。

職人さんにも色々いまして、必ずしも取材させてくれる訳ではないんですね。特にここ10年ぐらいで中国人がコピー商品を作って安く売るから職人工房が潰れてるってのもあって、取材を頼んでもスパイしに来たと思われて追い払われる事も多いのです。私としては協力を頼んでる立場なので、文句は言えないのですが、邪険に扱われるとショックなんですよね。
友達の紹介ってのが一番確実なので、フィリストゥルッキさんの所も楽に取材、出来るなと思ってたんです。しかし友達に頼んだら「一人で行って。」と断られた。えええええ!?

「最近、疎遠だから。」だそうです。何だよ。結局、飛び込み取材と同じじゃん。断られたら嫌だなあ。初対面の時って緊張するんだよなあ。
・・・などと、ブツブツ言いながら、工房のドアを開けました。

「えーっと、私は日本人の芸術家で、イタリアの職人さんをモデルに作品を作っています・・・。」

と、いつものように自己紹介をしたら、

「あっ!君の作品はペンコの所で見た事がある!!」

と言われた。彫金家のパオロ・ペンコ大先生の友達でしたか。話が早くて助かる!パオロ・ペンコ様様ですね。「切り絵を作る為に働いてる所を写真に撮らせてもらいたいのです。」と頼んだら「どうぞ、どうぞ。大歓迎!!」って事でした。ああ、良かった。

さて、かつらと言っても実際には舞台で役者さんが使うかつらですね。工房のすぐ近くにはテアトロ・ヴェルディという劇場があって、そこの誕生と共にフィリストゥルッキ家も仕事を始めたので1700年代に創業されました。フィレンツェの職人の中では最も古くから続いている工房ですね。

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お店の入口横の壁にかかってる家系図。こういうの見たの初めてです。素敵。一番根元に書かれているのが始祖のお名前。アンジェロ・フィリゥトゥルッキ、1720年とあります。上に行くほど新しい世代ですね。「うちらの名前はまだ書いてない。」と、現当主のゲラルトさんが言ってました。

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ゲラルトさんが作っているのは衛兵がかぶる兜の飾り。吹き流しみたいなやつですね。今でも式典なんかで大統領の隣に立ってることもあるので、そちらからの注文なんだそうです。
ちょっと写真が見にくくて何をやってるか分かりづらいですね。実際、指先の動きが速いので、見ていてもどうやって結んでいるのか・・・。

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こちらはゲラルトさんの父上のガブリエレさん。何というか、おしゃれなんだけど独特の雰囲気。容貌魁偉と言うか、ボマルツォの怪物公園(さあ、検索してみましょう)を彷彿とさせる・・・。
さっきから失礼な事を書いてますけど、ご本人はそれをネタにして喜んでるみたい。2階には特殊メイクの部屋があるんだけど、一通り説明してくれた後で・・・

「でな、この顔は特殊メイクなのじゃ!」

と言われて、一瞬ぎょっとしました。んな訳ないだろと高笑い。良いですねえ、こういう親父さん。格好良い~!!しびれる!!

2階には特殊メイクに使うゴムマスクを作っています。血まみれの生首なんかが置いてあったりして、けっこうスプラッタ。

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石膏で原型を型どりしてラテックスゴムで作るんですね。で、これに着色する。面白い作業ですが、今回はかつらの方を切り絵にするかな。来年、改めて取材させてもらおう。

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特殊メイクの作業場には、頭の木型が並んでいます。「この木型作ってる職人さんは今はいないんだよね・・・。」と言うので、ひょっとしてと思って、作者名を聞いてみたら、ビーニさんの工房でした。やっぱり!こういう老舗の仕事もやってたので、流石はビーニさんですね。弟のロベルト・ビーニさんは亡くなられて6年。兄のルチアーノ・ビーニさんは完全引退で、工房も無くなっちゃったけど作品は現役で働き続けている。優れた職人さんの作品って残って行くんだよね。思わぬ場所で作品を見かけたりすると、再会したような気分になって嬉しくなります。

フィリストゥルッキ家には300年以上に渡って積み重ねられた職人達の息遣いが今も感じられます。

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コメント

uwa---!!!! konohito, Giuliano ga kini itteite, itsuka koubou ni tsureteiku yo- to iwareteta hito desu...iku to itsumo koubou ga shimatteite, mada oaishite naikedo watashi ha... iidesune!!!

投稿: mari | 2013年6月25日 (火) 20時20分

俊寛さん、かつらかぶって魅せてくれても良かったのに( ´艸`)プププ

投稿: こころん | 2013年6月25日 (火) 21時43分

mariさん、そんなに閉鎖的な人ではないので、訪ねて行けば歓迎してくれると思いますよ。私の事も覚えててくれてると良いのですが、どうかなあ。

こころんさん、暑いから頭、剃りたいですね。そんな暑苦しいもの、被ってられるかい!

投稿: 俊寛 | 2013年6月25日 (火) 22時19分

わ〜、工房内を見て居るだけでワクワクしそう!
ウィットの利いたお父様も素敵*
イタリアで俊寛さん、お顔が広そう〜

投稿: | 2013年6月26日 (水) 18時29分

↑何故か俊寛さんの名前になっちゃった??

投稿: ina | 2013年6月26日 (水) 18時31分

inaさん、忙しい中で私の為に時間を割いて取材させていただきましたので、あまり長時間いたわけではないんですけどね。でも楽しかったです。

私の名前にはなってないですよ。上の私のコメントの投稿者名が俊寛になってます。inaさんの最初のコメントは名無しのままですね。

投稿: 俊寛 | 2013年6月26日 (水) 19時17分

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