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2013年5月25日 (土)

ヤスリ職人、アルド・ピカレッリ

ウンブリア紀行2日目(この日だけで3つ目の記事だ。) アグリツーリズモで食事の後、ヤスリ職人さんの家に行きました。セッラーノという場所なんですけど、街という程の規模ではなく、家がポツポツ点在する集落と言った方が良いような所でした。だからセッラーノは風景の写真は撮りませんでした。

ともあれ、ヤスリ職人。恥ずかしながら、私はヤスリという物は鋳型に溶かした金属を流し込んで作ると思っていましたが、違うんですねえ。ヤスリの「目」は鋳造では出来ないんです。なら、どうやって作るかというと、一つ一つタガネをハンマーで叩いて目を入れて行くんです。

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こちらがヤスリ職人のアルド・ピカレッリさんです。71歳。2年前にヤスリの工場が閉鎖されたので、現在は自宅の小部屋で職人を続けています。

セッラーノの近くにはノルチァという街があります。豚肉の加工で有名なんですが、中世には豚肉の解体=手術という図式になっていまして(すごい乱暴な話だ・・・。)医療技術がこの地では発達していたんです。当然、よく切れる刃物が必要になるので、最初は手術用のメスが、次いでヤスリが、最終的には彫刻に使う道具が生産されるようになり、大いに発展したそうです。しかし、大衆は裕福になり過ぎたあまり、神を敬う心を失って行き、それを恐れたベネディクト派の教会により、金属加工の技術は非公開の立場へと追いやられてしまい、その後は衰退して行ったそうです。

現代では機械を使って目を打ち込んで行くんですが、それでも目視によって目が入っているかどうか確認しながら作業を進めて行きます。
手作業によるヤスリの方が使い心地が良く、高級品なんだそうです。

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アルドさん、子供の頃から作業をしていて、工場で働いてた頃は1日10時間以上も作業をしていたというけど、よくも体を壊さなかったものですね。多分、無駄な力が全く入って無いからだろうか・・・。1発1発、等間隔でしかも早い。写真のヤスリで5分程度で目を打ち終わる。ちょっと目を離したら完成してるんですよね。

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私もやらせてもらったんですが、本体に跡が出来るだけで、まともな目は全く出来なかった。熟練の職人さんは凄いですよ。

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壁にかかっている色んな種類のヤスリ。
職人さんが使う道具を作る職人さん。・・・ヤスリが手作業で作られるとは想像もしなかったなあ。金属加工をする職人さんの中には、道具を自分で使いやすいようにカスタマイズする人はけっこういるのですけど、ヤスリの目立てとなるとねえ・・・物作りの根本に関わる道具を作る人が居るとは思わなかった。
案内してくれた粉川妙さんも、よくヤスリ職人なんてのを見つけたもんですね。自分の目で見るまでは想像も出来なかった。(作業自体はシンプルだけど、あれが人の手でされた仕事とは未だに信じられん。)

こういう仕事が消えて行くのは本当に勿体ないですね。せめて切り絵にして彼らの事を伝えなきゃなと思った。

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