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2013年5月 6日 (月)

製本職人、ラポ・ジャンニーニ

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ここからは、2013年のイタリア滞在で取材した職人さん達です。次回のイタリア行きまでに作品にしたいところですが、10軒も取材しちゃったので全員はちょっと無理かな。出来る限り頑張ってみます。

1人目は製本職人、ラポ・ジャンニーニさん。パートナーの桑田宝子(くわたみちこ)さんは私の友達です。(上の画像で左に写ってる女性が桑田さん)しばらく会ってなかったんですが、2年前に滞在した時に、二人で店を立ち上げたのを知ったので訪ねました。その半年前にお店がオープンしたんだそうです。「壁を自分たちで塗った」ってぐらい、こだわって作り上げたお店ですが、どうも新しい工房だと絵に描きづらい。その場所で過ごして来た年月が積み重なって行くと、その人の個性もどんどん表れて来るので、もうちょっと様子を見させてもらおうって事で。以後、ちょくちょく遊びに行ってました。
そろそろ良い感じに馴染んで来たので、今回ようやく取材。お昼ご飯も一緒にしたりして、人物像もわかって来たので、思い入れの強い、良い作品になるでしょう。

「ジャンニーニ」と言えば、ピッティ宮殿の前にある文房具屋、ジャンニーニ父子商会が有名で、ラポさんもその家系。現在、本家のジャンニーニではマリアさんが当主ですが、ラポさんとは従兄弟になるんだそうです。

画像は製本の作業ですね。縫製台を使って、ページを綴じている所。使っている紙にもこだわっていて、北イタリアのコルデノンス社の紙。1800年代前半の手漉きの紙に触った感触と書き心地が似ているんだそうです。

お店には既製品も置いてますが、彼らが本当にやりたいのはお客さんの希望に合わせて制作するオーダーメイド品。当然ながら値段も高くなるので(その事を理解出来ないお客さんも多いんだそうです。値段が高い事に文句を言う人もいるそうで、買う買わないは兎も角、オーダーメイドの価値って何なのかぐらいは解ってもらいたいですね。)なかなか難しい。でもそんな事も言ってられないので、コンクールに出品し続けてるそうです。

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ラポさんの作品です。『オセロ』『リア王』『マクベス』をおさめた仏訳の本を装丁してあります。
外箱はロンドン、グローブ座をイメージ。蓋を開けると舞台が展開。
表紙に埋め込んである木製のパネルと、そこに立っている2脚の足は、シェイクスピア演劇と俳優を象徴しています。
表紙は仔ヤギ革と本金箔を使用。緑の内側にアンティークローズ色のマーブルの見返しを付けています。これは、コントラストの美しさと、ルネサンスを意識したものです。(英国ルネサンスはイタリアよりかなり遅れてシェイクスピアの生きた時代に波及。フィレンツェのドゥオモの緑とピンク大理石のイメージ)。

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こちらは桑田さんの作品。『テンペスト』の伊訳。
テーマは「水と火」もしくは「均整・抑制」。テンペストの主題のひとつがtemperanzaである
ことからアイディアを得た。箱が水(海)を、本が火(嵐)を象徴しています。作者の名前までWilliamからGuglielmoに訳してあるのが笑えるけれど、訳者がしたことに倣ったのと、「イタリア」を強調したかったのであえて(シェイクスピアは執筆にあたってラテンやギリシアの古典劇から多く主題を引用した経緯から)。トスカーナ産仔牛革と金、銅箔を使用。

2点とも、オックスフォードの国際製本コンクールに出品したそうです。メールで見せてもらったので、説明文もそのままコピペしてあります。今回、私が滞在してる時にイギリスから戻って来たので、2点とも直接見せてもらいました。眼福。製本の世界も奥が深い。話を聞いてると時間が経つのを忘れます。

同年代の職人さんが頑張ってると励みになりますね。私も気合入れなきゃ。

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