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2011年5月26日 (木)

銅版画工房 イッポグリフォ

今回取材した工房はこれで最後です。いつもより少ないけど、前の滞在で取材した工房でまだ切り絵にしてない所もあるし(これを宿題と呼びます。)日本の職人シリーズも並行してやっていくつもりなので、まあこんなもんだろうと。

と言う訳で、最後は銅版画の工房イッポグリフォの主人ジャンニ・ラファエッリさんです。

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銅版画の職人さんは初めてですね。これまで多数の職人さんと会って来たけど、一つの職種について一人というわけにもいかず、けっこう重複してる事も多いんですね。勿論、同じ職種でも各工房によって個性は有るので、全然雰囲気の違う作品に仕上がりますけどね。

と、こう書くとほとんど全ての職人仕事を切り尽くしたような感じですけど、まだやってない職種はいっぱいあるのです。傾向としては布関係が多いかな。テキスタイルとかレース編みとか。フィレンツェを離れれば、その土地の名物職人はいくらでもいるので、まだまだネタには困らないですけどね。

で、ともあれ銅版画の職人さんですが、このお店はけっこう有名みたいで、ガイドブックに取り上げられてるのを見て知りました。だから、この方の工房も飛び込みの取材。いやー、緊張した。実際、私の説明の仕方が悪かったのか、一度は断られたんですね。でも、めげずに話を続けたら許可を貰えました。今回はこういうパターンが多くて、ステンドグラスの工房も同じ経緯でしたね。

と言う訳で、銅版画です。エッチングとも言いますね。私は中学2年生の時に美術の時間で習った事があります。銅の表面を防食剤でコーティングして、その上からニードルで引っ掻いて線を描きます。次に酸に浸して、引っ掻いた部分(つまり防食剤でおおわれていない部分)を浸食させる。この部分が窪みになるので、インクを入れて印刷するわけですね。

一つの版を150枚使って刷ります。色を付ける場合は水彩絵の具を使うそうです。

取材させてもらったのはニードルで描画して行く場面。このニードルはジャンニさんの手作りで、市販のシャーペンに針を仕込んだ物。銅版画職人としては、この場面が一番面白いかな。

・・・しかし、取材させてもらったけど、これを切り絵にするにはどうすれば良いのだろう。針で描画するって、物凄く細い線なんだけど。それこそ髪の毛よりも細い!ジャンニさんも取材させてもらった時は、けっこうノリノリで「いつ作品にするんだ?」と期待してくれてるみたいだったし。「えーっと、来年イタリアに来る時までには・・・。」と答えちゃったから、何としても作らなきゃいけないんですけどね。いやいや。困った。まあ、何とかやってみるさ。

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これは上の画像で作ってる銅板の下絵。ペンで描いてあります。ヴェッキオ橋とヴェッキオ宮、ドゥオーモとジョットの鐘楼、ちらっとパディア教会とバルジェッロ博物館が見えます。実際にはあり得ない構図ですね。ジャンニさんのファンタジーです。

ジャンニさんは独学で銅版画の技術を習得されました。10年ぐらい前に工房を立ち上げたんだそうです。ちなみに工房の屋号であるイッポグリフォとは、グリフォンと雌馬の間に生まれたという伝説の生物ですね。グリフォンってのは鷹の頭と翼にライオンの体がくっついてるやつ。イッポグリフォは下半身が馬になってるやつです。ジャンニさんは子供の時から、この伝説の生き物が好きだったそうです。

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こちらは帰国前日に自分へのお土産に買った作品。奮発して2点♪海老とイワシですね。額装しなきゃね。(長岡京の個展前に額縁屋さんに行ったけど、注文するのを忘れた。それどころじゃなかったんだよなあ。)

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コメント

海老も、いわしもあまりにリアルですね。

投稿: maron | 2011年5月27日 (金) 16時32分

maronさん、見れば見るほど良い作品なんです。宝物がまた増えました。

投稿: 俊寛 | 2011年5月27日 (金) 17時24分

奥様のお仕事、銅板の腐食からプレスの作業を見せてもらった事がありますよ。
そういえば暫く顔出してないわ…。
ここのカッチュッコのレシピの作品が私はお気に入り。

投稿: 縁 | 2011年5月29日 (日) 23時12分

縁さん、奥様も働いてるんだ。腐食の作業も面白そうだね。想像つかない。

カチュッコのレシピかあ!そうか。料理の素材としてのテーマも良いな。

投稿: 俊寛 | 2011年5月29日 (日) 23時50分

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