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2010年6月 7日 (月)

言葉の向こうにあるもの。

フィレンツェの修行時代に共に過ごした友人で、鎌倉で靴屋をやってるJ君の結婚式に行って来ました。

彼は靴屋の3代目、靴の作り方を一通りマスターする為にフィレンツェに渡り、いくつかの工房を転々とした後、最終的にオーダー靴としては最高級のステファノ・ベーメルさんの工房で技術を高めました。何事にも要領が悪くて、不器用な人でしたが、苦労して腕を磨いていったので同時に人間性も高まって、最後の方では良い意味でのライバル意識を感じた事もありました。

で、このJ君の結婚披露宴で私が新郎の友人代表でスピーチを頼まれちゃいました。「何でオレが!?」と思いましたが、せっかくのご指名なので頑張って盛り上げなきゃなと。

何を話そうか悩んだ末に、彼の師匠のステファノ・ベーメルさんにお願いして、J君へのメッセージを書いてもらいました。

披露宴当日、フィレンツェでの微笑ましいエピソードを紹介した後、「実は私、ベーメルさんよりメッセージを預かって来ました!」と言って、上着のポケットからサッと取り出し(これが凄くやりたかったのよ!)力を込めて丁寧に読み上げました。流石にJ君は男泣きするまではなかったけど、感動してましたなあ。

ちょっとミスったかなと思ったのは、スピーチでは私の翻訳した文を読んだので、イタリア語の原文は読まなかった事ですかね。(J君にはこの後で封筒に入れて渡しましたけど。)イタリア語がわからない出席者を置いてけぼりにしちゃうかなと思ったので。でも後で「イタリア語も読んだら格好良かったのに。」と何人かに言われました。・・・いやはや、スピーチも難しいものですな。

ともあれ、ベーメルさんのおかげで、生まれて初めての大役を果たす事が出来ました。もう、ほとんど「ベーメル工房に代理としてJ君の結婚を見とどける!」ぐらいのノリでしたので。先ほどベーメル工房に結婚式の写真をメールして報告しました。喜んでくれるだろうなあ。

ベーメルさんのメッセージ、翻訳するのが大変でした。最初にサラッと意訳してみて、それで充分意味が通ったんだけど、なるべくなら原文で使われた言葉を尊重しなきゃなと思い直し、一つ一つの単語の意味を調べなおしました。結局、直訳に近い形になったんですけど、その時に思ったのが、ベーメルさんはJ君の事を「これからは弟子ではなく、一人前の男として付き合って行きたい。」と思ってるんじゃないかと。だから、この単語が選ばれたのかなと。そう思うと、決して長い文ではないけど、メッセージに込められたベーメルさんのJ君に対する想いの深さが感じられて、不覚にももらい泣きしそうになりました。

勿論、あくまでも私の解釈ですけどね。だからJ君には落ち着いて時間が出来た時に、改めて辞書を引いて自分で翻訳して欲しいと思っています。私よりも正確にベーメルさんの事を理解出来るでしょうから。

言葉の一つ一つに真剣に向き合った時に、言葉の向こうにある真意というのが見えた気がしました。

それにしても・・・言葉と言うのは難しく、かつ奥が深いものだな。今回とは逆に言葉足らずで人を傷つける事もあるので、気を付けなきゃ。

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コメント

かっこいいぢゃーーーん♪

言葉より何より大切な、、ユーの気持ちが伝わったんでにゃい??

ブラーボ!!

投稿: もんさる | 2010年6月 7日 (月) 23時58分

もんさるさん、伝わったのは私の気持ちじゃないよ。ベーメルさんの気持ちです。J君も私の後ろに師匠の姿が見えたと思ってます。・・・格好良い役割だよね、本当に。

投稿: 俊寛 | 2010年6月 8日 (火) 00時13分

日記のタイトルに惹かれてミクシィ開いてすぐに拝読しました。
いやあ、良かったね。
今までに2度ほど、カルラ(ジュリアーノのお姉さん)からうちの母宛という手紙の翻訳をしたけれど、俊寛さんの考えたように、意訳と直訳に近いもの(というより作者が選んだ言葉をなるべく率直に伝えたいという表現)というあたりはとても思案のしどころですよね。以前、翻訳家になりたくて神戸外大に行った友人が、外国語の習得以上に読解力および国語の実力をつけるほうがかなり難しいと言っていました。

私は昨夜無事にフィレンツェに帰ってきました。
来週中にはディスクを届けられると思います。

投稿: mari | 2010年6月 9日 (水) 19時11分

mariさん、J君も大喜びで「一生の思い出になりました!!」って言ってくれました。やって良かったと思ってます。メッセージを書いてくれたベーメルさんと、仲介してくれた弟子のイマタさんにも感謝しなきゃ。

私のイタリア語もだいぶ怪しくなって来てるんですが、それでも会話力と言う点では昔よりも上がって来てると思ってます。それはつまり日本語の力が昔よりもあるという事ですね。自分の言いたい事を筋道を立てて説明出来るから、無駄な言葉が無い。だから相手にもわかりやすい。

今の学校教育ですけど、幼い内に英語を教えるというのは愚の骨頂ですね。これはハーフの子なんかが両親のどちらの言葉も中途半端になって、バイリンガルではなくメタリンガルにしかならないのと同じ事です。母国語で物をしっかりと考える事が出来なければ、外国語の達人にはなれません。現役の通訳の人にハーフの人は少ないしね。(統計を取ったわけじゃないけど、私は見た事が無いです。)

ディスクの方お願いしますね。ユミカさんにもよろしく。

投稿: 俊寛 | 2010年6月 9日 (水) 19時54分

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