« 2009年12月 | トップページ | 2010年2月 »

2010年1月31日 (日)

日本の職人シリーズ第1号。

329

愛知県の常滑焼きの職人、土平栄一さんの切り絵が完成です。

画面左側の丸めた赤い粘土が、土平さんの手にかかって次々と姿を変えて行く。土平さんの指が赤く染まり、乾いた粘土が粉になって、工房全体に微かに広がっていく。ガレージを利用した工房なので、壁の代わりのシャッターには子供さんの描いた絵が貼られている・・・。

実は金曜日には完成してたんですけどね。終った直後にビールを飲んで寝てしまったので。(寝る前のビールを控えてたんだけど、もういいよね。4ヶ月間ダイエットを続けたし。)土曜日は京都の個展の準備をしてたり、夜は幼馴染のジャズピアニストのライブに行ってたりしてました。ライブから帰って、やっと写真撮影です。(あやうく写真を撮るのを忘れるとこだった。)クリックすると大きい画像になるので、細部の確認などをしたいかたはどうぞ。

年末から始めたんだけど、他の工房の取材や京都の個展用の小作品も作ってたので、実質の制作期間は3週間ちょっとですか。

サイズは40×50cm。このサイズの作品としては、かなりの高密度です。(つまり線が多くて複雑=制作に時間がかかった。)

土平さんは取材させてもらった時に「うちなんかが絵になるかなあ?」と疑わしそうな感じでしたが、今までとは雰囲気の違った良い仕上がりになったと思います。考えてみれば胡坐をかいて作業してる職人さんって始めてですね。(何だか座禅を組んでるみたいで格好良いぞ。)先日取材させてもらった漆職人の武藤さんは正座して作業してたし(こちらは道場で修行してるみたいで行儀が良いなあと思った。)当たり前だけど、座り方だけでも日本とイタリアの習慣の違いがあって面白い。

あと、そこかしこに見られる平仮名・片仮名・漢字は切ってて楽しかったな。この部分を見てると切り絵って、やっぱり日本の文化なんだなと思いました。

さて、次は久々にフィレンツェの職人さんです。3月はイタリア行きなので、その前に仕上げないとね。

| | コメント (7)

2010年1月27日 (水)

漆職人さんの工房見学。

Mutou 制作を一日休んで、職人さんの工房に取材に行って来ました。愛知県弥富市で名古屋仏壇の漆塗りをやっている職人さん、武藤久由さんです。

武藤さんとかミクシィで知り合ったんですけどね。いつも自分の仕事に関する事をブログに書かれていて、漆に対する愛情と、仕事に対する誠実さを感じていました。「これは是非、工房を見学させてもらって、切り絵にしなければなるまい。」と2年ぐらい前から決めていたんですけどね。

いい加減、日本の職人さんにも注目しようよって事で、今年は日本の職人さんの切り絵もかなり多く作る予定です。(しかし、作らなきゃいけない作品が多くて大変なんだけど・・・。)

衣服に付着した埃で仕上がりが台無しになるような、非常にデリケートな工房なので、私のような者が立ち入って良かったのか非常に恐縮しましたが(一応、毎日お風呂に入って洗濯された物を着てますけどね。私は不潔なわけではないですよ。それ以上に気を使わなきゃいけないんです。武藤さんときたら、この寒いのに靴下も履いてなかったですからね。)こころよく迎えていただきました。良い物を見せていただき感謝しております。

今まで見てきた工房って、その職人さんの仕事と直接関係無い、余計な物が多かったですね。例えば仕事中に食べるおやつとか、壁に貼ってあるヌードポスターとか・・・。でも、それはそれで職人さんの個性が現れてくる部分なんで、描いてて面白くもあるんですけどね。

武藤さんの工房では極力、そういう物を排して仕事に集中できる環境を整えてたような感じいでしたね。だからマイケル・ジョーダンのポスターや車の写真が貼ってあったり、マクドナルドのクーポン券が置いてあったり、北斗の拳のフィギュアが飾ってあったりと、そういう事はないんですけどね。やっぱり生真面目な方なんですねえ。余計な物が無いってのも一つの個性かもしれませんね。・・・ああ、ラジオとチョコレートは見つけましたな。

とは言うものの、お父さんの代から使われてる漆が染み付いた道具類も大変、風格がありました。漆を薄めるのに使う樟脳を入れる箱も50年ぐらい前から使い続けてる物ですからね。隅々まで気を使って整えられた工房。せっかく取材させていただいたので、気合入れて切り絵にしなきゃいけないと思いました。

武藤さんはすごく面白い方なんですよ。茶目っ気を出していろんな物に漆を塗ってみたり(蜜柑の皮とか葡萄の食べた後の房とかに漆を塗ったりしてた。)子供さんの夏休みの宿題の工作に、恐ろしく複雑な構造の、しかし子供でも作れる貯金箱を考案したりして・・・。武藤さんの発想は、いろん物事に対する優しさから出てるような気がしました。

今日はその後、名古屋の栄に出て、ギャラリー彩さんで開催中の合同展と名古屋市美術館で展示されてる警察官の美術展を見て来ました。どちらも知人が参加してます。ギャラリー彩さんの方では丁度、私の知人が在廊してたので1時間ほどお喋りして帰って来ました。

たまにはいろんな人と会うのも良いな。気分の良い一日でした。

| | コメント (5)

2010年1月23日 (土)

京都の個展のお知らせ。

001_agostino_dessi_2 初めての関西圏での個展ですね。

画像はフィレンツェの職人シリーズ、仮面職人アゴスティーノ・デッシさんと娘のアリーチェさん「宝箱の中で」です。作品のサイズは100×100cm。

京都のセレクトショップ、キャッキャラという店での個展です。

この店はフィレンツェの革細工職人ジュゼッペ・ファナーラと手袋工房マドヴァを輸入して売ってます。私もこの2軒の切り絵を作っているので、個展ではファナー ラのコインケースとマドヴァの手袋が置いてある場所に彼らの切り絵を展示する予定です。

案内状をご希望の方はこちらからメールにて、ご住所とお名前を教えて下さい。お友達の分も配ってくれる方、行けないけど記念に欲しい方も、ご遠慮なくどうぞ。まだ交流の無い方でも大歓迎ですので、興味のある方はメール下さいませ。

切り絵師・俊寛 エキシビション

2010年2月4日(木)~2月16日(火) 11:00-19:00 水曜定休

私は6日(土)と7日(日)と12(金)に出る予定です。実演もやる事になっています。

10日(水)は定休日なのでお間違えなく。

キャッキャラ 京都市中京区御池通柳馬場北東門 

地下鉄東西線「市役所前」駅 9番出口 /  地下鉄烏丸線「烏丸御池」駅 1番出口

よろしくお願いします。

| | コメント (10)

2010年1月22日 (金)

最初に顔を・・・。

300a いよいよ最後の工程。画用紙を切り抜き、アクリル絵の具で着色して裏側から貼る作業です。私の作り方では「黒枠で囲まれた部分は1パーツ」というルールにしてます。一見、同じような色に見える部分でもよく見ると微妙に色や影の方向を変えてある。

1mm程度のパーツもあるので、わざわざ別パーツにする意味は無いのですが、小さい部分でもきちんと仕上げるという事になるのでミスを防ぐ事が出来ます。

作品の深みを出すというのは、こういった丁寧な作業の積み重ねによって至ると思ってやっております。

とりあえず主役の土平さんの上半身を仕上げました。やっぱり一番貼ってて面白い部分ですね。赤土で染まった指もイメージ通りに仕上がった。

主役の部分が仕上がると、全体の完成のイメージが固まる。ゴールを決めておくとこの後の作業も調子良く進める事が出来るわけですね。

ズボンを貼ってないのは、脚の前に轆轤があって、その前にはバケツがあるから。現実に手前にある物から貼って行かなきゃいけないので、轆轤とバケツを貼ってからでないとズボンまで貼れないのです。300

| | コメント (0)

2010年1月21日 (木)

切り終えました。

Kutu 土平さんの切り絵、ここまで進んでます。画像の1から4までは一日の進捗状況。

私の場合、下絵の線より太くなるように切っているので、切っている途中は汚く見えますね。だから時々裏返して線の個性がちゃんと出ているか確認しつつ切っていきます。裏側から見ると白い線の切り絵に見えるけど、雰囲気はつかめます。

全部切り終えると、枠の部分の裏側に細く切った画用紙を貼ります。この作品の場合、枠の幅は1,5cmなので、ちょっと細めの1,2cmの幅。パーツを貼って行くと、糊の水分を吸収して、線が伸びていくんです。最初のうちは大丈夫なんだけど、完成間際になるとボコボコに波打って、非常に見苦しい仕上がりになります。枠の部分に紙を貼っておくと、それ以上は伸びなくなるので、奇麗に仕上げる為には必要な作業なんですね。(この事に気が付くまで3年ぐらいかかったかな。)

この後、エアブラシで黒色のアクリルガッシュを吹きます。水で薄めて吹くので、薄い黒を塗り重ねるような感じ。水で薄めずに一気に塗りつぶすと、小さい穴なんかが絵の具の塗膜で埋まっちゃう事があるんですね。私は5回ぐらい吹いて真っ黒になるぐらいの濃度でやってます。ビタビタに濡れるほど吹くと線が水分を吸収して伸びちゃうから、湿らせる程度に吹きます。

こうして出来上がったのが最後の画像。

・・・やっぱ、このサイズにしては描き込み過ぎだったかも。もう少し大きい紙でやるべきだったかな。

手の部分が赤く染まっているのは、土平さんが轆轤で回している土が赤いからです。作業中は指先が真っ赤になってるからね。黒い線のままだと、線が強すぎるのでこの部分だけ赤い絵の具を吹いてみました。

この技法はかなり前に開発したものです。8年前に制作したパオロ・ペンコさんの切り絵にも使用してます。ペンコさんの場合は「職人の指先に熱がこもっている。」事を表現するために使用したんですね。毎回、この技法でやるのもマンネリなので、これ1度きりになってました。今回、久々に使用ですが、さてこれから色が付くとどうなっていくかな。

| | コメント (4)

2010年1月17日 (日)

下絵終了。

Tutihira_3やれやれ。更新が止まってしまった。土平さんの切り絵を始めた時、毎日更新しようと思ってたんですが、同じ作業を繰り返してるんで、書くことが無いんですよね。って言うか、作り方の説明もこのブログで何度も書いて来たし。

本当に毎日更新しようとしたら画像1枚と「今日の仕事」って一言で終っちゃうんですよね。

というわけなので、今後はある程度進んでから記事にするって事でご了承下さい。今日は3つの画像を並べてみたけど、もう少し細かい段階の写真を撮って並べるとパラパラ漫画みたいになって面白いかも・・・。やりたいけど忙しいんだよなあ。(パラパラ漫画って・・・授業中に描いてたなあ。国語の教科書とか。そんな事やってたから成績悪かったんだよなあ。)

下絵が終了しました。 上が13日(水)、中が14日(木)、下が16日(土)です。15日(金)は出張だったので制作してないです。14日にようやく目の辺りが清書しているけど、その後けっこう修正してて16日の下絵終了の段階だとだいぶ顔が変っている。・・・多分、誰も気が付かないだろけど、自分が納得しないと次に進んじゃ駄目だからね。

ちょっとこのサイズ(40×50cm)にしては描き込み過ぎたかもしれませんね。まあ、色を付ければ見易くなるだろう。

土平さんは取材させてもらってる時に「うちなんかが絵になるのかなあ・・・。」なんて若干、照れくさそうに言ってましたが、すごく良い絵になったと思うけど、どうでしょうね?

| | コメント (0)

2010年1月12日 (火)

昨日と今日。

324 下絵続行中。順調に進んでます。

上の画像が昨日の寝る前の状況で、下が今の状況。2枚並べると、進んだ部分が良くわかる。

ちゃんと真面目に制作してるんですよ!

鉛筆で描いて、ジェッソで清書して、気に入らない部分が出れば塗りつぶしてやり直し。この繰り返しです。

目の部分が鉛筆描きのままですが、この部分は一番いじる事になるから、気楽に清書出来ないんです。微妙な線のズレで表情が変わったり、下手すると似なくなっちゃったり。・・・やっぱり実在のモデルなので、なるべくなら似せて描きたいですね。まあ下絵の段階だと修正は可能で、どうせ顔の部分もまだまだいじる事になるので清書しても構わないんだけどね。

325

| | コメント (0)

2010年1月10日 (日)

清書開始。

323 下絵続行中です。ある程度、鉛筆での細かい部分の描き込みが終ったら、黒色のジェッソを水で溶いて筆で線を引いて行きます。このジェッソと言うのは下塗り用の絵の具ですね。この上から絵の具を塗ると画面への食いつきが良いそうです。こういった工程は漫画を描くのと同じ。ジェッソが乾いたら消しゴムをかけて下絵が終了。

鉛筆で全部描き込んでから、ジェッソで清書して行く方がサラサラっと進んで良いのでしょうけど、鉛筆描きしている内にどんどん汚くなって行くんです。鉛筆デッサンに慣れた人だと、紙に手が付かないように浮かせて描くのですけど、私は思いっきり手を付けて描いてるので、手が紙でこすれて鉛筆の粉が広がっちゃうんですね。(この辺りが美大出身でない悲しさかな。基礎的な部分がしっかりしてないのかも。)

しまいには鉛筆の線が見えなくなってしまうので、そうなる前に清書するんですね。

部分的に清書して行くので、進めていくうちに気に入らない所も出て来ます。その時は白色のジェッソで消して描き直し。今日はまだ清書を始めたとこなので、主要な線だけ。この後、服の皺や影とかテーブルの木目や染みなんかを描き足して行く。まだまだ下絵が終了するのは遠いな。ああでもない、こうでもないと考えながらの作業なので、全工程の中でも時間がかかります。

| | コメント (0)

2010年1月 9日 (土)

下絵続行中。

321 常滑焼の土平さんの切り絵、下絵続行中です。鉛筆でかなり細かい部分まで描いて行く。

この時点では定規を使って直線を引いています。他にも、物の大きさ、長さも測って下絵を描く。こういう部分をフリーハンドで進めると、最終的にデッサンに狂いが出て来るんです。

5月に仕上げたフィレンツェのシニョーリア広場なんかは人物を描くのが大変でした。うっかりすると明らかに変な絵になっているんですね。隣接している人物はちゃんと手前が大きく、奥が小さく描かれているんですが、ちょっと離れた部分にいる奥の人物との比率がおかしくなっていたり、立っている位置がずれて30cmぐらい宙に浮いているように見えたり・・・。人物の位置や比率は定規で測りながら描いて行かないと駄目なんです。

小さい作品なんかだと定規は不要なんですけどね。作品のサイズが大きい程、正確さが必要になります。

今回の作品はサイズとしては中ぐらいで、作りやすい大きさですね。でも気を抜くと現実には在りえない変な絵になるので、時々定規で測りながら進めています。

正確さ・丁寧さから出発しないと、深みのある作品は出来ないと思っております。

| | コメント (6)

2010年1月 7日 (木)

今年1作目開始。

320 昨年末にアイデアスケッチして、作品のサイズだけ決めておいて年越し。年末年始は京都で出す予定の作品を作ってたので、ようやく再開です。

サイズは40×50cm。初めての日本の職人さんで、愛知県の常滑焼きの職人さんで土平栄一さんです。

昨年の夏に取材させてもらったのですが、先に作らなきゃいけない作品が多くて長らく放置状態だったのでした。・・・と言ってもイタリアの職人さんも、取材してから2年以上も待たせてる人もいたりしますけど。それでも私の事を忘れずにいてくれるんで、大変申し訳無いですねえ。088_3_2

さて、下絵の手順ですが、写真を見ながら大まかな形を鉛筆で描いて行きます。一枚の写真からは絵としてはまとまらないので、違う角度から撮った写真も見て、物の形を確認しつつ進めて行きます。

切り絵にする場合、省略する部分と強調する部分で作品の個性が決まってくるので、写真に写っている全ての物を描くわけではないです。ですが、頭の中で物の形を把握してから実際に描く部分を選択していくので、同じ物でもいろんな角度とディティールを撮影しておきます。だいたい一つの作品にするのに少なくとも150枚程度の写真は必要ですね。

職人シリーズを始めた頃は、職人仕事に関係している物しか描き入れなかったのですが、最近では余計な物の方が作ってて面白いですね。仕事中に食べてるおやつとか、吸ってるタバコとか、気分転換に眺めるエロ写真とか、子供が描いた絵とか、家族の写真とか、バイクのヘルメットとか・・・。こういう物も職人さんの個性ですからね。土平さんの工房にはエロ写真は無かったけど、いろいろと描いてて面白そうな物も発見しているので、そういうのも積極的に入れて行こうと思ってます。

さて、初の日本の職人さんの切り絵、どうなりますやら。

| | コメント (7)

2010年1月 1日 (金)

謹賀新年!!

Serie_di_encicropedia2_181a_4 あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。

昨年以上に気合入れて、見に来てくれた人を幸せにするような作品をガンガン作ります!!

2月には京都で個展です。初めての関西での展示ですね。期待してくれる人、好意を寄せてくれる人はいっぱいいるんだから頑張らなきゃね。

2010年が皆様にも良い年でありますように。

| | コメント (16)

« 2009年12月 | トップページ | 2010年2月 »