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2007年6月24日 (日)

製本職人、エンリコ・ジャンニーニ(後編)。

Img_3167 さて、前から名前は知っていたけど、きっかけがつかめずに知り合うチャンスが無かったジャンニーニさん。偶然通りかかった小さい工房で見かけたので、思い切って声をかけてみた。

「ピッティ宮殿の前にある本店は娘さんに任せて、自分はやりたい仕事だけをやるために工房を借りた。」だそうです。理想の働き方ですね。この時は結婚式用のアルバムを作ってました。赤い革で装丁された豪華なアルバム。

自己紹介して、写真を撮らせてもらいつつ、しばらくの間お喋りをしましたが、話しているうちに嬉しくなってきた。職人としての技量はもちろん、その人柄の良さに感銘を受けました。おだやかでユーモアがあって知的で親切。

職人としてだけでなく人間的にも理想の男ですな。もし私が切り絵の道を選んでない状態だったら、その場で弟子にして欲しかったぐらいです。

いや、もちろん今まで知り合った職人さんの中にも素晴らしい方はたくさんいるし、欠点は多くても一緒に飲みに行ったり、議論したりしているうちに、その欠点さえ愛嬌に思えてくるような事もあるのですが、この方の場合はどこか別格の印象がありました。何と言うか、小柄な人なんだけど、巨大で緑豊かな岩山を目の前にしているような気がしました。

偶々、私が訪れた翌日に、アメリカ人の観光客にマーブルペーパーの制作の実演を見せると言うので、私も混ぜてもらいました。この時に作られたマーブルペーパーは、帰国する前に挨拶に行ったらプレゼントしてもらった。今までいろんな人からプレゼントを貰っているけど、完成した切り絵を見せに行ったら喜んでくれて何かくれたというパターンであって、まだ何も作ってないのに物をもらうというのは初めてでしたな。

結局、職人仕事というのは、その人の人柄が表れる。単に手を動かすのではなく、日常生活の中で何を考え、感じ、行動するか、こういった人間としての修行をしていかなければならないという事だ。そしてその修行は決して苦しい物ではない。エンリコ・ジャンニーニさんのように楽しく誠実に過ごしていればそれでいい。

と、まあこんな事はだいぶ前から私の師匠に「心に余裕を持て。」と言われてた事ですけどね。でも時々忘れてる事もあるので、再確認できたかなって感じですな。

以上、今回取材してきた7人と前回の取材でやり残した2人、合計9人をこれから作って行きます。

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コメント

>そしてその修行は決して苦しい物ではない。エンリコ・ジャンニーニさんのように楽しく誠実に過ごしていればそれでいい。

日常生活にも言えることですね。
その積み重ねが人間を作っていくと思います。
心したい!

投稿: くろきち | 2007年6月24日 (日) 11時38分

一人一人と直にお会いになって、お話をされたからこそ、
俊寛さんはあんなに温かい作品が作れるのですね。
ちょっと舞台裏をみせて頂いた気がして嬉しかったです。
作品の完成を楽しみにしています。

投稿: うさぴょん | 2007年6月24日 (日) 12時17分

くろきちさん、そうですね。別に職人じゃなくても大切な事だと思います。
ネガティブな物の考え方に陥る事もあるので、こういう方々の事を思い出そう。

うさぴょんさん、より深く付き合えば、より良い作品が出来ます。制作前に出来るだけ話をするようにしてますが、消極的な人もいますね。でもそういう人でも、作品を見せに行くと打ち解けてくれるというのもあります。それも嬉しいですね。
ジャンニーニさんの作品は最後に作ろうかと思ってます。楽しみは最後に・・・。

投稿: 俊寛 | 2007年6月24日 (日) 12時49分

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