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2006年7月31日 (月)

イタリアからの帰国。

職人展と工房の取材、取材を兼ねた小旅行と、やるべき事は全て終えて帰国の途についたのは5月31日。飛行機に乗っている時間、帰国してからの制作の計画や今回の滞在で得たものについて考えていました。

7月14日のブログで登場したブロンズ職人のシモーネ・カルチナイ君、女、サッカー、酒が大好きという典型的なイタリア男だが、職人としてはすごく謙虚なやつでした。普通、こういうタイプは良くも悪くも自信家である事が多いのですけどね。

工房の写真に彼と一緒に写っている年配の職人さんを指して「この人、シモーネの師匠かい?」と聞いた時に「師匠って言えば師匠だけど、オレにとっては周りの人はみんな師匠だよ。俊寛、お前もな。」と答えた。多少、優等生過ぎる返事だなとその時は思った。

後日、シモーネ君に紹介してもらった木彫家のマッシモ・バルディーニさんの所に取材に行きました。いろいろお喋りしてる時に、5,6年前に亡くなったシモーネ君たちのお父さんについての話が出ました。

「病気で亡くなったんだけど、後に残していく息子たちの事を相当心配してたんだがな・・・。」

この言葉を聞いた時、シモーネ君が何故あそこまで謙虚でいられるのか、わかったような気がしました。多分、マッシモさんみたいな人たちに見守ってもらっているという事を、常に意識していたんだと思う。

まあ、それは考えてみれば、私も同じ事ですな。多くの職人さんだけでなく、普段の生活の中で支えてくれている家族や親族、友人たちや、イタリア・日本で志を持って修行している若い者たち(こう書くとおじさんぶってイヤミかもしれんが、最近の留学生を見て若いなあと感じる事もあるので・・・。)個展や展示会、ネットを通じて知り合った多くの人々。私にとって、それらの人たちの寄せてくれる好意と期待がどれほど制作の原動力になっている事か!私がみんなに対して報いる術があるとすれば唯一つ。「見た人が幸せになれる作品を作る事」これしかないのだ。そして、それは人と人とのつながりの中で自分の位置を意識していく作業でもある。

以上は常々思っていた事ではあるが、シモーネ君との付き合いでそれを再確認させてくれた。どうも制作が行き詰まると、初心を忘れて殺気立って来る事もあるので、年に一度のイタリア滞在は、自分への良い意味での刺激を与えてくれるみたいですね。

と言う訳で、長いイタリア滞在のレポートでしたが今回で最終回です。2ヶ月もかかっちゃいましたね。やれやれ。

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コメント

よろしいですなあ。そういうの好きです。
優等生がなんで悪いのですか。優等生がワルものみたいに言われるのは、きっとこの世に偽善がはびこりすぎたからですよ。
まっしょうじきに優等生なのはいいことだと思います。

偽善じゃないほんとの善いものを、この世にたくさん生み出していきましょうね♪
それはアーティストの使命だと思うのです。

投稿: てんこ | 2006年7月31日 (月) 08時37分

てんこさん、照れもありますからね。
私としては、この程度の事は特に意識しなくても常に頭の中にあって、目の前にある仕事を淡々とこなしていくというのが理想なんですけど。

投稿: 俊寛 | 2006年7月31日 (月) 11時03分

はじめまして。
イタリア旅行中に職人展に行きまして、作品を拝見させていただきました。
あれから、早くてもう数ヶ月…ブログを書きながら、思い出しまして書き込みをさせて頂きました。
これからも頑張って下さい。

また来ます。

投稿: ぐり | 2006年9月 6日 (水) 01時34分

ぐりさん、こちらこそ初めまして。職人展に来てくださってたんですね。ありがとうございます。
現在、滞在中に取材した工房の切り絵を制作しております。あれからもう数ヶ月経っちゃいましたね。自分の仕事関係以外でも、いろいろな人と出会いましたし、良い感じに思い出になってます。行く度に良い経験になるので、来年もまた参加できるといいんですけどね。

これからもよろしくお願いします。
カメヤマさんのお友達なんですね。

投稿: 俊寛 | 2006年9月 6日 (水) 14時26分

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