« ある偶然から。 | トップページ | 仲のいい職人さん、その1 »

2006年7月26日 (水)

仕事ばんざい-ランベルト君の徒弟日記

Banchi003_1 今回は本の紹介です。

画像1は1987年にフィレンツェで出版された本「見習い職人の日記」。作者は私の友達でフィレンツェのブロンズ職人、ランベルト・バンキさん。ブロンズや真鍮を使って彫刻が施された時計や装飾された鏡、写真立てやランプ、燭台、家具のとってなどを作る。

ランベルトさんは現在73歳、小学校卒業後にブロンズ職人の工房に入って修行を始めました。第2次大戦が終わって1年後、ランベルトさんはまだ13歳の時でした。(当時は義務教育は小学校までだったのです。小学校卒で徒弟になった職人は、このランベルトさんが最後の世代でしょうね。)その時お母さんに「字を忘れないように毎日、日記をつけなさい。」と言われて、見習いになった初日から約8ヶ月の間書いたものです。

簡潔な文体で、親方から糸ノコやヤスリの使い方を習ったり、ご褒美にチョコレートキャラメルをもらったりした事、お使いに出されたり、糸ノコの刃を折ってしまったりと、徒弟が親方の下で仕事を覚えていく様子が記録されています。考えてみれば、職人が少年時代を思い出して書かれた回想録ではなく、修行中の子供の目から見た職人の世界の記録なので、資料としても価値がありますね。

ちなみに上の画像で表紙に書かれている絵は、ランベルト少年が描いた親方の似顔絵。「僕の親方」と下に書いてあります。Banchi002_2

で、下の画像が中央公論から1992年に出版された日本語版の「仕事ばんざい-ランベルト君の徒弟日記」です。なかなか味わい深い内容なので、中学生あたりの課題図書にしてもいいと思うのですが、残念ながら絶版になってます。

私はランベルトさんと知り合った時に、イタリア語版はもらったのですが、日本語版も欲しくなったので探していたのですが、見つからず。幸い図書館の閉架にはあったので、時々借りて読んでいたのです。仕事を始めた時の新鮮な喜びとか、普通の生活の中で発見した幸せとか、何となく読んでておだやかな気分になる本ですな。私が知ってるランベルトさん自身、少年がそのまま大きくなっちゃったみたいな純粋な方だから、余計思い入れが強くなるのかもしれませんけどね。

で、今回の滞在中にこの本の翻訳をした中嶋浩郎さんという方と知り合い、1冊プレゼントしていただきました。(また物をもらってる・・・。)中嶋さんはフィレンツェ大学で日本語を教えているのですが、ランベルトさんの友達でもあります。

以下は日本語版のあとがきの要約。

現在の日本では子供を取り巻く環境が悪化して来ている。その背景として学歴社会とか競争社会、金権主義など日本社会のあり方に関わる根深い問題がある。では、この状況を改善させる一つとして「働く事の意味」を考えてみる必要があるのではないでしょうか?子供たちに働く事の喜びを与える事が、大人に果たされた大きな問題なのです。

まあ、働く事の喜びとは子供だけでなく、大人にとっても重要ですからね。ですから、皆さんも是非この本を読んでみてください。図書館にはあるかもしれません。

仕事ばんざい-ランベルト君の徒弟日記

著者 ランベルト・バンキ

編者 小泉和子

訳者 中嶋浩郎

発行所 中央公論社

|

« ある偶然から。 | トップページ | 仲のいい職人さん、その1 »

コメント

13歳の少年が修行してゆく毎日が書かれた日記♪
ぜひ読んでみたいです!!
図書館で探して見ますね♪

投稿: mau | 2006年7月26日 (水) 10時00分

日本語版なら読めます☆私も図書館で探そうかしら。
働く喜びって大切ですからね。

投稿: みやじま | 2006年7月26日 (水) 12時45分

mauさん、2時間ぐらいで全部読めちゃうぐらいですが、内容はなかなか考えさせられる本です。読んだら感想を教えて下さいね。本人に伝えますので。
みやじまさん、是非読んでみてください。私としては娘さんにも読んでほしいですね。編者のあとがきにも「子供たちとそのご両親、これから働く事になる若い方たちに読んでほしい。」書いてあったし。(でも、これじゃほとんど全年齢向きってことだよね。)復刊されて、もっと多くの人が読んでくれるといいんだけどなあ。

投稿: 俊寛 | 2006年7月26日 (水) 13時23分

おもしろそうな本ですね!
しかし、絶版とは残念…><
なぜ、いい本に限って、絶版って多いんでしょうね。
今度図書館で探してみま~す。

投稿: にゃんこ | 2006年7月27日 (木) 21時00分

にゃんこさん、図書館は大抵の本は取り寄せてくれますけどね。絶版になった為に大勢の人がこの本の存在を知る事が出来ないってのは残念です。

投稿: 俊寛 | 2006年7月27日 (木) 21時45分

読了しました(^-^)v

なんだか「ニューシネマパラダイス」を思い出しました。
親方と仕事との出会いは、ランベルト少年にとって本当に幸せだったな~と感じます。
信じられる大人と、興味を持って夢中になれる仕事に少年期で出会えるのは、奇跡のようなものです。
今も変わらずに、職人を続けている彼を親方は、きっと誇らしく思うことでしょう。
良い本を紹介してくださってありがとうございました。

投稿: mau | 2006年7月31日 (月) 17時11分

mauさん、早速のご感想をありがとうございました。本人が読んだらさぞ喜ぶ事と思います。機会があったら伝えときますね。
バンキ父子って、いつも幸せそうに働いてますからねえ。仕事を通じての人との出会いが、あの方たちの人生を良いものにしてるんだろうなと思います。

投稿: 俊寛 | 2006年7月31日 (月) 18時24分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/156886/11100556

この記事へのトラックバック一覧です: 仕事ばんざい-ランベルト君の徒弟日記:

« ある偶然から。 | トップページ | 仲のいい職人さん、その1 »